八朔とは?時期と伝統行事やあの柑橘類とのつながりは?

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暦・時

「八朔(はっさく)」は、おもに柑橘類の果物を想像することが多いかと思われます。その上このように漢字で目にすることも、めずらしく感じられるのではないでしょうか。

実は地域によってはこの言葉が指すのは果物だけではなく、伝統的なお祭りや行事の日を指して使われていることもあるのです。

※2024年の八朔は、 9月3日(火曜日)です。

今回は、その「八朔」の意味や由来、行事お祭りは何か、そして柑橘類のはっさくとはどのように関連しているのかを調べてみました。

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八朔とはどういう意味?

八月朔日で8月1日

「八朔(はっさく)」とは、8月1日を表す「八月朔日(はちがつさくじつ)」から来た呼び名で、「朔日」は月の最初の日を指し、毎年8月下旬から9月下旬にあたります。

※2024年の八朔は、 9月3日(火曜日)です。

この頃は、稲穂が実をつけ始める重要な時期とされ、伝統的にこの時期には多くの地域で特有の行事が行われています。

行事の由来は「頼みの日」?

農家では、これからの豊作を祈り、初めて実る稲穂(初穂)を恩人に贈る慣わしがありました。

この時期は、稲の実る頃であることから「田の実の節句(たのみのせっく)」とも呼ばれ、これが転じてお世話になっている方々へ贈り物をする「頼みの日」として、武家、公家、商家へと広まっていきました。

しかし、現代ではお中元などの別の贈り物の習慣が根付いているため、この風習はあまり見られなくなっています。

一方で京都の舞子や芸妓は、現在も8月1日にお茶屋や芸事の師匠への挨拶回りを行うことが一般的で、この挨拶回りも「八朔」と呼ばれています。

八朔の節句やだんご馬

・福岡県芦屋町では、毎年9月1日に「八朔の節句」として、長男・長女の誕生を祝う伝統的な行事が300年以上続いています。男児には「わら馬」、女児には「団子雛」を作って家に飾り、それらを翌日9月2日に家に訪れる子供たちに分ける風習です。

・香川県丸亀市では、八朔の日として今年2024年は9月3日に、米粉のだんごで作った「八朔だんご馬」を飾り、主に男児の誕生を祝い、子供たちが健やかに過ごせるよう願う風習が続いています。

「八朔祭り」の由来や背景

「八朔祭り」は、特に関西や九州地方で親しまれている行事で、9月の最初の週末に開催されています。

この時期は台風や長雨が多く、農作物が天候に大きく影響を受ける季節として、八朔を含む以下の3つの日に対し特に注意を払ってきました。

・「 八朔」:旧暦8月1日 例年8月下旬から9月下旬ごろ ※2024年は9月3日

・「二百十日」:立春から210日後 例年9月1日ごろ ※2024年は8月31日

・「二百二十日」:立春から220日後 例年9月11日ごろ ※2024年は9月10日

※「二百十日」「二百二十日」はそれぞれ暦「雑節」にあたります。詳しくは「二百十日と二百二十日は何の日?要注意日の意味や風習と時期は」をご参照ください。

八朔祭りは、これらの時期を無事に乗り越え、作物が豊作であることを願うために行われます。また、風の神を祀ることで、台風や荒天の被害を抑えることを祈願する行事でもあります。

お祭りの内容は?

八朔祭りは各地にいくつかありますが、有名なところを2つご紹介します。

熊本県山都町(やまとちょう)の八朔祭

毎年9月の第1土曜と日曜に開催され、江戸時代の中頃から続いています。

五穀豊穣と豊作を祈るため、「大造り物」と呼ばれる巨大な山車のようなものが、何体も八朔囃子とともに市中を巡ることで有名です。これらは竹、杉、すすき、シュロの皮など山野の植物を使って毎年新しく作られ、5メートル以上もの大きな龍や武将、キャラクターや時事ネタを取り入れるなどの表現は圧巻です。

・京都府松尾(まつのお)大社の八朔祭

毎年9月の第1日曜日に開催され、明治時代から130年位続いています。

農作物の台風や病害虫による被害を避けるため、風雨安穏、五穀豊穣、家内安全の祈願が行われます。奉納相撲や、子どものための赤ちゃん土俵入り、女神輿や、境内三千個の提灯とともに盆踊りなど、京都の夏祭りをしめくる風物詩です。

柑橘類「はっさく」と関係はある?

柑橘類「はっさく」とは?

「八朔」として知られる柑橘類は、江戸時代末期に広島県因島の寺の境内で発見された、日本固有の果物です。みかんよりも一回り大きく、皮も中の袋が厚く堅いため、通常は中の果肉を食べます。

独特の甘み、酸味とほのかな苦みを持つ果物で、特に収穫直後は酸味が際立つため、収穫後1~2ヶ月貯蔵し熟成させてから市場に出されるというのが一般的です。

「八朔」の時期と食べられるタイミング

明治時代に入ってから広く栽培が始まり、その名も「八朔(はっさく)」と名づけられました。

名の由来は、「八朔の頃から食べられるようになるため」とされています。

現在の9月においては「はっさく」はまだまだ収穫には早く、食用になりえるのでしょうか?

はっさくは通常、12月頃に収穫し貯蔵して熟成させ、1月~3月に市場に出回ることが多く、あるいは「木成り八朔」「完熟八朔」として3月ごろまで木に成らせておくものもあります。

いずれにしても、「はっさく」は8月1日「八朔」の時期には食べられる果物だから、という名前の由来については、疑問の残るところではないでしょうか。

まとめ

「八朔」とは、8月1日を表す「八月朔日(はちがつさくじつ)」から来た呼び名で、「朔日」は月の最初の日を指し、毎年8月下旬から9月下旬にあたります。

※2024年の八朔は、 9月3日(火曜日)です。

古来、農家ではこの収穫時期に、恩人にその年の最初の収穫物を贈る習慣があり、「田の実の節句」と呼ばれ豊作を祈る前祝いでした。次第に「頼みの日」として社交的な贈り物をする風習に変化していき、時代とともにその意味は薄れていきました。

一方で一部の地域では現在も、八朔祭りや八朔の節句など八朔にちなんだ伝統的な行事が続けられています。

果物の「はっさく」とのつながりははっきりしないままですが、毎月「一日」がある中で他の月と区別され、8月1日が「八朔」として特別視されているのは、長い間伝統としてこの日に多くの行事が行われてきたことに由来するのかもしれませんね。

 

 

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