なぜ「1時間は60分」で「1分は60秒」?現在の時間や1秒に至る変遷

【広告】

暦・時

いつでも簡単に正確な時間を知ることが出来る暮らしは、とても便利なものです。

この時間の単位ですが、1時間は60分、1分は60秒で表すのも、1日は24時間とした古代ギリシャ時代の概念から派生して、現在に引き継がれているものです。

毎日変わることなく刻んでいると思っていた「時間」ですが、実は20世紀に、天文学や科学の進歩による1秒の定義と、現在の時間設定に至る変遷があったことを知りました。

60という単位を用いる理由にさかのぼるとともに、これらについて改めてまとめてみました。ご覧ください。

スポンサーリンク

\楽天大感謝祭【12月19日(木)20:00~26日(木)01:59】エントリーはこちら/

楽天でエントリーする

楽天大感謝祭は、 今年1年間の感謝を込めて、

毎年12月後半に開催されるビックイベント!

ポイントアップや割引クーポン、期間限定イベントなど、

普段よりもお得に買い物できるチャンスです。

参加する為にはエントリー必須!

忘れないようにこちらからエントリーしてくださいね!

「分」「秒」の単位は角度が由来

かつて人々は、日時計によって太陽の動きの角度を測定し、時の変化をみていました。それらが、各時間の単位になりました。

そして現在でも計測や天文学においては、角度として「分」「秒」が用いられています。

古代バビロニア時代

暦の起源は、紀元前1900年から1595年頃、古代バビロニア時代のメソポタミア文明にさかのぼります。この地域の人々は、星や太陽の位置を観測して1年はおよそ360日、月の満ち欠けサイクルから1か月は約28日~30日と把握していました。

そしてこの1年(およそ360日)に1回転する太陽や月が、1日に動く角度1度(1°)として、円の一周を360度とする考え方は、「度数法」あるいは「60分法」の起源とされています。

またこれらを元に円周を360に分割する方法も見出し、「12進法、60進法」とともに、1日を昼夜12時間に分割する「定時法」を用いたことが、時間の単位の起源となったとされています。

 

12等分する理由には、1年が12カ月であることや、12という数字が人間の手(親指を除く指の関節)で数えやすいことが関係しているとされています。

※これ以前、古代エジプトでは、昼夜別々に12時間に分割されていたため、各1時間の長さは季節によって異なったものでした。

紀元前3~2世紀ごろギリシャ

エラトステネス

天文学者・数学者・地理学者エラトステネスは、夏至の正午に2地点の太陽高度差を測定し、地球の周計を初めて割り出すとともに、正確な距離を示す地図作成のため、円周360度を60分割して「緯度」を決めたと言われています。

ヒッパルコス

その後、天文学者ヒッパルコスによって、春分や秋分では昼と夜の長さがほぼ同等であることから、「1日の昼夜を均等に24分割」し、また地球を「緯線」「経線」で360分割する方法によると、経線は24分割されることから、「1日は24時間」とする概念が提唱されました。

※地球に対し南北を表す横の線が 「緯線」 、東西を表す縦の線が 「経線」 です。

※その他、1日が24時間とされた細目につきましては、こちらをご参照ください。「1日」が24時間となった設定や認識の変遷とは?時間表記方法も

紀元後2世紀ごろ

さらに後年の紀元後2世紀ごろ、ギリシャの天文学者クラウディオス・プトレマイオスにより、太陽の南中観測の観点から正午から正午までを1日とする概念が確立されるとともに、これまでの緯線と経線の360度をさらに60分割することで「1時間は60分」、さらにこれを60分割して「1分は60秒」と、角度から時間単位が作られました。

とはいえ、時間の単位として「分」「秒」が実用的な意味で用いられるようになったのは、16世紀以降に「分」を表示可能な機械式時計が登場してからということです。

文字盤を12分割し、短針が1周して12時間、2周して1日、長針が一周して1時間を表しました。この時、1時間を60分として、角度における1度の1/60が1分、1分の1/60が1秒とする考え方が、時間の単位にも採用されたのです。

60進法なのは

六十進法(ろくじっしんほう)とは、小学館「デジタル大辞泉 」によると

数の表記法の一。60ごとに上の位に上げていく表し方。古代バビロニアで用いられた。時間・角度に用いる。

つまり、60で一つ上の単位に繰り上がるという数の考え方で

1時間60秒で1分、60分で1時間、角度60秒で1分、60分で1度

などに用いられています。

🔷

古代バビロニア時代のメソポタミア文明では、先述の通り、天文学や数学による円周360度の分割、12進法、60進法をもとに、時間の単位を把握していました。

その際、「60」は1~100のうちで、1、2、3、5、6、10、12、15、30、60と、色々な整数で割り切ることができる、最も約数が多い数字であり、何かを分割する際に便利であるとともに、神聖な数字と考えられたため、60進法を用いたと言われています。

また月の満ち欠けの観測から1年は12カ月であることや、人間の片手で数えられる数として12が特別視されていたところに、両手を用いると60まで数えられるということも関連しているのではないか、ともいわれています。

※親指以外の4本の指の関節が3つであるため、片手で12まで数え、もう一方の手の指を1本ずつ折ると、12×5本で60まで数えられるという方法だそうです。

10進法と勤務表

現在、身の回りの多くは、10進法が主流となっています。

十進法(じっしんほう)とは、小学館「デジタル大辞泉」によると

記数法の一つ。一〇個の数字を用いて一〇ずつまとめて上の位に上げていく表わし方。日常用いている数の表記法で、人間の手の指との対応からきたといわれている。

10で一つ上の単位に繰り上がるという数の考え方で

1が10集まって10、10が10集まって100、100が10集まって1000

などに用いられています。

人間の指を折りながら数をかぞえるためには、「10」が都合よかったということなのですね。

🔷

時間には60進法が用いられていますが、勤務時間の管理に関しては、10進法で表すことが多いのではないでしょうか。

自動変換や、15もしくは30分刻みの場合が多いかと思いますが、以下の対応表に示したとおり、10進法は細かく刻むと端数が目立ちますね。

60進法 10分 15分 20分 30分 40分 45分 50分 60分
10進法 0.167 0.25 0.333 0.5 0.667 0.75 0.833

1秒における変遷

観測計算による1秒「天文秒」

1秒は1/86,400

古代の人々は、太陽の「南中~(次の日の)南中」の動きを直接計測して定めた時刻を1日、さらに24分割して1時間とし、その後さらに60分割して、分や秒を用いてきました。

これらの時間は「視太陽日(したいようび)」「視太陽時(したいようじ)」に基づく計算で、

1秒は、1日を8万6400で割った数、1/86,400でした。

60(秒:1分)×60(分:1時間)×24(時間:1日)=8万6400(秒)

その後長い間、1秒は1日を基に計算した1/86,400秒でした。

1秒は1/3,600

18世紀ごろ、地球の楕円軌道による公転と自転軸約23.4°傾斜による季節変化から、南中時刻は変化することがわかり、年間一定の速度で動く仮想の太陽を設定した平均太陽日(へいきんたいようび)」「平均太陽時」が用いられるようになりました。

これらを基に、1秒は、1平均太陽日を24等分した「1平均太陽時」の1/3600とされました。

60(秒:1分)×60(分:1時間)=3600(秒)

1秒は1/31,556,925.9747

1956年、観測により地球の自転誤差及び月の潮汐の影響による速度の遅れがみられ、

「秒は、暦表示の1900年1月0日12時に対する太陽年の1/31,556,925.9747」と定義され、定められた日の地球の公転周期を元にした1年を、3155万6925.9747で割ることで、1秒が決められ、1960年の国際度量衡総会で採用されました。

60(秒:1分)×60(分:1時間)×24(時間:1日)×365(日:1年)=3153万6000(秒)

原子のふるえによる1秒「原子秒」

1967年、国際度量衡総会において、地球の歳差運動などから、観測による地球の公転の代わりに、開発の進んだ「原子時計」による1秒の定義が採用され、現在に至ります。

1秒とはセシウム133 原子の基底状態の2つの超微細準位間の遷移に対応する、放射の9,192,631,770 周期の継続時間」という定義です。

セシウム原子が固有の周波数の電磁波を放出するため、9,192,631,770回(約92億回)振動するのにかかる時間が1秒になる、ということだそうです。

※歳差運動:太陽や月、惑星の引力の影響を受け、傾いている地球の自転軸を立てようと、長い間にその向きを変えてしまう動きのことです。

現在の時間「協定世界時」

協定世界時≒世界時(平均太陽時)

・1967年の1秒の定義とともに、時刻も国際原子時」として「原子時計」で定められることになりました。

1958年1月1日0時を起点として、世界時平均太陽時)と原子時計の原子時を一致させ、原子時計の秒数に基づいて時刻を定めました。実際の原子時計は環境などによって微差が生じるため、国際原子時は、フランスの国際度量衡局(こくさいどりょうこうきょく)によって世界70か国以上に設置されている、約500個の原子時計による午前0時の時刻の平均から、定められているそうです。

・1972年には、原子時の1秒を基にしつつ、世界時との調整を行う協定世界時」という考え方が採用されました。現在の時間とは、この「協定世界時」に基づいています。

これにより、世界時と協定世界時はほぼ同じとされていますが、地球の自転の影響を受けて両者に差が生じるため、その差が0.8秒を超えた場合は「うるう秒」として調整が行われています。

※世界時:イギリスのグリニッジ子午線(経度0)を基準とし、夜中の0時を一日の初めとする「平均太陽時」のことを指します。また、グリニッジ標準時、世界標準時も同等の意味を持つとされています。

現在の日本標準時

・1886年7月12日に、東経135度の時刻が日本標準時に定められました。これはグリニッジ標準時(世界時)から、9時間後にあたり「GMT+09:00」と表されます。(なおすでに廃止されていますが、日本国内で時差がある時代もありました。)

・現在の日本標準時は、12台の原子時計による協定世界時が採用されています。

情報通信研究機構(NICT)」に属する「日本標準時(JST)グループ」の管理のもと、各原子時計のデータを毎日1回集計し、平均化することで生成されたものです。

日本標準時の電波配信

日本標準時は、標準電波(JJY)を介して送信されています。

その発信先は以下の2か所です。

・福島県の「おおたかどや山標準電波送信所(40kHz)」

・佐賀県と福岡県の県境の「はがね山標準電波送信所(60kHz)」

またコンピュータ用には、原子時計やGPSに直結されている「NTPサーバー」を通じて、日本標準時が生成表示されるシステムにより、時刻情報が提供されています。

まとめ

いにしえの人々の天体観測から、1年は12か月約365日、1日は24時間で表すようになり、その後の地理計測の角度から1度の1/60が1分、1分の1/60が1秒、機械式時計の発明から実用として、1時間は60分、1分は60秒で表すことが出来るようになり、現在も時間の単位として用いられています。

1秒については、時代が進むにつれて、地球の自転・公転観測に由来する天文秒の誤差を修正する設定を重ねたのち、観測に代わり原子時計による原子秒により定義されました。

この原子秒を基にした協定世界時は、従来の世界時(平均太陽時)とほぼ同等とされ、両者を調整するうるう秒を設け、現在の標準時は協定世界時となりました。

日本標準時も12個の原子時計の生成する協定世界時をもとに、国内2か所から標準電波送信するとともに、コンピューターにはNTPサーバーを介して配信されています。

時間は、社会生活をする上で最も身近であり重要な、共通単位の一つといえるのではないでしょうか。また、この歴史を知ることで、壮大な人類の歴史の一側面と「今日」を一気に繋ぐ、特別な概念の時間となるかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました