「お彼岸」の意味とお参りや過ごし方とは?春・秋の日程

「お彼岸」といえば、春分の日と秋分の日ごろ訪れる、季節の節目「暑さ寒さも彼岸まで」を思い浮かべることでしょう。

※2024年は3月17~23日と、9月19~25日です。

そして、多くの人がこの時期に、実家に帰省したりお墓参りをします。この風習は日本独自のものだそうです。

あの世とこの世が最も近づくとされる「お彼岸」の元々の意味、お墓参りやその他の過ごし方と日程について、まとめてみました。ご覧ください。

「お彼岸」2024年春・秋日程

「お彼岸(おひがん)」は年に2回、春と秋にあり、「春彼岸(はるひがん)」「秋彼岸(あきひがん)」ともいわれます。

春彼岸は3月20日頃、秋彼岸は9月22日頃で、それぞれ二十四節気の「春分」と「秋分」の日の前後3日間を合わせた7日間を指します。

「春分の日」と「秋分の日」は、国民の祝日にあたりますが、日付は毎年固定されたものではなく、太陽の位置が黄経が0゜,180゜となる時刻を含む日として、国立天文台による天文学的な予報に基づき毎年発表されるもので、数日のズレがあります。

 

また、初日は「彼岸入り」、終は「彼岸明け」、春分の日・秋分の日は「中日(ちゅうにち/なかび)」と呼ばれています。

2024年の日程は以下のとおりです。

春彼岸 (3月17~23日

彼岸入り:3月17日(日)

中日:<春分の日>:3月20日(水・祝)

彼岸明け:3/23(土)

秋彼岸(9月19~25日

彼岸入り:9月19日(木)

中日:<秋分の日>:9月22日(日・祝)

彼岸明け:9月25日(水)

「お彼岸」の意味とお墓参り

由来は到彼岸(とうひがん)

「彼岸(ひがん)」はサンスクリット語で「悟りの世界」を意味し、その語源は「パーラミター(波羅蜜多)」の漢訳、「到彼岸(とうひがん)」に由来します。

この言葉は、仏教において迷いのない悟りの境界を表し、西方に位置するとされています。

現在私たちが生きる世界は「此岸(しがん)」と呼ばれ、東方とされています。

此岸にいる者は、「布施」「持戒」「忍辱」「精進」「禅定」「智慧」の「六波羅蜜」を修業することで、彼岸に行くことができるといわれてきました。

 

「お彼岸のお墓参り」は日本独自

お彼岸の春分と秋分の日は、太陽が真東から上り真西に沈み、昼夜の長さがほぼ等しくなります

この日を含む期間は、彼岸と此岸が最も近くなると考えられ、僧侶などが修業をするにも適した、特別な期間とされていました。

それは仏教の目指すところ、「苦」と「楽」、「有」と「無」のようなどちらかに偏ることない、ものの見方・考え方や立場をとる「中道」に通じるとの考えによるものといわれてます。

その後、ご先祖の住む世界も「彼岸」とされるようになりました。

平安時代には、「お彼岸の法要」が朝廷の年中行事であったことが、「源氏物語」にも記載されています。

現在も、お寺で法要が行われ、「お墓参り」に行くことで、ご先祖をより身近に感じるとともに、修行をしたのと同じ意味があるため、とも言われています。

また農村では、ご先祖や神仏に対し、春に種まき・秋に稲の収穫を報告し、感謝・供養する風習がありました。

特に「日願(ひがん)」として、五穀豊穣をもたらす太陽を神と崇めたといわれ、日本のお彼岸の由来はこちらではないか、ともいわれています。

僧侶などが修行や精進を行う時期であったお彼岸と、こうした日本古来の風習が結びついて、お彼岸にお墓参りをするようになったようです。

これは他の仏教国にはみられない、日本独自の風習です。

「お彼岸」の過ごし方

主にご先祖に思いをはせる期間として過ごします。

お墓参りはこの時期に必ず行う必要がある、というものでもありません。お仏壇や心の中で手を合わせる方法もあります。

また、自分と向き合う機会にもなります。

お仏壇の掃除とお供え物

自宅にお仏壇がある場合は、お彼岸前に特に念入りにお掃除して、清浄な場所と清々しい気持ちでご先祖に手を合わせられるよう準備します。

お仏壇がない場合は、スペースを設けてお供え物をしたり、他のご家庭へ贈り物をする場合もあります。

お供え物の基本は、「五供(ごく)」と呼ばれる「香・花・灯明・浄水・飲食」です。

代表的なお供え物には、お線香や季節の花、ろうそく、精進料理やお菓子、果物などがあります。またこの時期の特別なお供え物として、「おはぎ」や「ぼたもち」が挙げられます。

「おはぎ」と「ぼたもち」

一般的に春のお彼岸には牡丹の咲く頃にちなんで「ぼたもち」、秋のお彼岸には萩の花の咲く頃にちなんで「おはぎ」を供える風習があります。

また、小豆は春に播かれ秋に収穫されるため、使われる餡の種類も異なります。おはぎは収穫後のやわらかい皮を活かしてつぶ餡で作り、ぼたもちは春になって硬くなった皮を除いてこし餡で作ると言われています。

他にも秋に収穫された大豆によるきな粉をまぶしたり、ごまをまぶしたおはぎなどもあります。

このようなお米をはじめとする五穀を使ったお供え物は、ご先祖へ慰霊とともに、豊穣や家族の繁栄を願う意味合いを持つといわれています。

自宅で手作りするだけでなく、今ではスーパーや和菓子店で購入できるので、便利になりました。

お墓参り

定期的に、あるいは法要やお墓参りの前にお掃除をしておく方がよいでしょうけれど、遠方の墓地や仕事の都合、高齢などでむずかしいこともあります。

お掃除代行として専門の業者さんもいらっしゃいますので、活用するのも1つの手段といえます。

当日早めに到着してお掃除するという方も多いのではないでしょうか。(個人的によく使う方法です)。

またお墓参り自体、様々な事情や都合でスケジュール的に合わせられない場合も、多々あることです。無理せず別の機会を設けましょう。

持ち物と仏花

お墓参りの持ち物

・数珠、(自ら読経する場合は経典)

・お線香・ろうそく・マッチ (ライター)

・お花

・お供物 (ぼたもちやおはぎなどのお菓子、果物、故人の好物など)

・掃除が同じ日の場合は、掃除用具(タオルやブラシ、ごみ袋など)

※お参りの後は、腐ったりカラスなどが集まるなどの理由から、お花以外は持ち帰るよう決められている場合が多いかと思われますので、ご留意ください。

仏花(ぶっか)について

お墓参り(お仏壇も)にお供えする花は、仏花(ぶっか)・供花(くげ)と呼ばれます。

花をお供えすることは、仏さまを清浄なもので美しく飾るというだけでなく、供養をする人の心をも清め、花を通じて有限の命について考えるという意味があります。

そのため、お供えする花は、お参りする人の方に正面を向けて、両脇の2か所に活けます。

花の種類には特に決まりはないため、地域の風習や日持ち・扱いやすさなどを考慮しながら、故人が好んでいた色や花などを選ぶことが可能です。(トゲやツル、毒を持つ花は避ける必要があります。)

代表的なところは、キクやトルコキキョウ、ユリ、カーネーションやリンドウなどでしょう。

日ごろの行いの振り返り

お彼岸の7日間は、中日がご先祖に思いをはせ感謝(かんしゃ)する日、その前後6日間は、仏教の教えである「六波羅蜜(ろくはらみつ)」が日常生活の中で実践できているか、1日1つずつ自分自身を見つめ直す期間ともいわれています。

六波羅蜜とは、布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧のことを指します。

布施(ふせ):分け与えること/欲から離れること

持戒(じかい):ルールを守ること

忍辱(にんにく):耐え忍ぶ/怒(いか)りをすてること

精進(しょうじん):努力を続けること/怠ることがないこと

禅定(ぜんじょう):心身を落ち着かせること/自分を冷静に見ること

智慧(ちえ):物事の真理を見極めること/愚痴(ぐち)をさけること

修行僧ではない私たちが、日々生きていく中で心がける「6つの善い行い」のことで、これらに沿って、自らを振り返る機会にするというものです。

まとめ

「お彼岸(ひがん)」は、

サンスクリット語で「悟りの世界」を意味する「パーラミター(波羅蜜多)」の漢訳、「到彼岸(とうひがん)」に由来します。

時期は年に2回、

春は3月20日頃、秋は9月22日頃で、それぞれ二十四節気の「春分」と「秋分」の日の前後3日間を合わせた7日間を指します。

※2024年は3月17~23日と、9月19~25日です。

特に春分と秋分の日は、太陽が真東から真西に沈み昼夜が等しくなるため、これらの日を含む7日間は、彼岸と此岸が最も近くなるとされる、特別な期間と考えられてきました。

僧侶などが修行を行う時期であったものが、日本古来の稲の収穫に対する先祖や太陽はじめ神仏への報告や感謝と結びついて、お墓参りをする、日本独自の風習として広まり根づいています。

過ごしやすい季節に、親族や家族が集まる良い機会になることでしょう。

お参りは必ずこの時期でなければならないということでもなく、都合や体調に合わせるとして、仏壇がある場合にはお供え物とともに手を合わせ、また思い出話などして偲ぶ時を持つ、ということが何よりです。

また、僧侶ではない私たちもこの期間は、日々生きていく中で心がける「六波羅蜜:6つの善い行い」に沿って、日ごろの我が身の行いを振り返ってみるというのも、気づきとなる良い機会ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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