雑節とは?9つすべてを日程とともにご紹介

「雑節(ざっせつ)」も季節を表す方法の1つで、中国発祥の二十四節気を補うための、日本独自の暦です。

雑節とだけ聞くとあまりなじみはありませんが、「節分」や「彼岸」など身近な生活文化や行事が含まれています。

その9つすべての意味と2024年の日程をご紹介しています。

雑節(ざっせつ)とは?

中国発祥の暦として、月の満ち欠けを基準にした太陰暦のズレを、太陽の動きをもとに一年を24の節気に分けて季節を表した二十四節気があります。

毎年同じ時期に同じ節気が巡ることから農業の目安として日本に伝わり、現在に受け継がれています。

一方で、日本の気候と一致しない面や、他にも二十四節気だけでは表せない、日本ならではの季節の目印や農作業の目安となる日、祭りや祈願などに重要な日を補う必要がありました。

雑節は、そうした日本人の季節感や生活文化に合わせて作られた、日本独自のものなのです。

※よろしければ、「二十四節気七十二候とは?意味と日程とともにご紹介」を参照してください。

雑節の種類

雑節には、日本の気候風土に合わせて、特定の時期に行われる9つの行事が示されます。

主に農作業の目安とされてきたものです。

  1. 節分(せつぶん)
  2. 彼岸(ひがん)
  3. 社日(しゃにち)
  4. 八十八夜(はちじゅうはちや)
  5. 入梅(にゅうばい)
  6. 半夏生(はんげしょう)
  7. 土用(どよう)
  8. 二百十日(にひゃくとおか)
  9. 二百二十日(にひゃくはつか)

これらの行事には年1回のものと、年2回ないし4回設定されているものとがあります。

複数回の場合は以下に赤字で表記しています。

節分(せつぶん)

節分は、現在は新年の始まりである二十四節気の「立春」の前日2月3日頃の1回です。

厄払いとして豆まきや恵方巻を食べる風習が一般的となり、一年の無明息災を願う行事として定着しています。

もともとは中国から伝わった風習で、季節の変わり目には邪気が入りやすいとされ、四季の始まりを意味する立春・立夏・立秋・立冬の前日に邪気や厄を払うものでした。

彼岸(ひがん)

彼岸は年に2回、春と秋にあります。

春の彼岸は3月20日頃、秋の彼岸は9月22日頃で、それぞれ二十四節気の「春分」と「秋分」の日を中日とし、その前後3日ずつ、計7日間を指します。

彼岸は、あの世(彼岸)とこの世(此岸)が繋がる日とされており、ご先祖様を供養するためお墓参りや仏壇にお供え物をする習わしがあります。

また春分と秋分の日は、太陽が真東から昇り真西に沈むため、昼と夜の時間がほぼ同じになります。

社日(しゃにち)

社日は年に2回、春と秋にあります。

二十四節気の「春分」3月20日頃と「秋分」9月22日頃に最も近い戊(つちのえ)の日に行われ、春の社日を「春社(しゅんしゃ)」、秋の社日を「秋社(しゅうしゃ)」と呼びます。

生まれた土地と人々を守護する神様である産土神(うぶすながみ)をお祀りして、春には豊作を祈り、秋には収穫を祝い感謝を捧げます。

八十八夜(はちじゅうはちや)

八十八夜は、二十四節気の「立春」から88日目の5月1日頃を指します。

霜が降りる季節も終わり、稲の種まきや茶摘みなどの農作業の目安とされています。

「八十八」は漢字の「米」となり稲作に深く関わりとともに、この頃に摘んだお茶を飲むと長生きすると言われています。

入梅(にゅうばい)

入梅は、二十四節気の「芒種(ぼうしゅ)」の後にくる壬(みずのえ)の日で6月11日頃です。

太陽が黄経80度を通過する頃にあたり、現在では気象庁が発表する梅雨入りを示す日で、梅の実がなる時期でもあります。

半夏生(はんげしょう)

半夏生は二十四節気の「夏至」から数えて11日目の7月2日頃で、七十二候のサトイモ科の植物「半夏生ズ」から派生し、七夕の頃までの5日間を指すこともあります。

太陽が黄経100度を通過する頃にあたり、田植えや畑仕事を終える目安とされています。

大雨が降りやすい時期でもあり、「物忌みの日」として農家は畑仕事を休み、疲れた身体を癒す期間になっています。

(天から毒気が降るので井戸に蓋をして井戸水を飲まない、酒肉を食べない、外出を控え来客にも会わないなど土地ごとの風習があるようです。)

土用(どよう)

土用は年4回あり、二十四節気の「立春」「立夏」「立秋」「立冬」のそれぞれ直前18日間にあたります。

立春前は冬土用、立夏前は春土用、立秋前は夏土用、立冬前は秋土用と呼ばれ、1月中旬、4月中旬、7月中旬、10月中旬頃に始まります。

現在は、立秋直前の「夏の土用」のうち丑の日(うしのひ)にうなぎを食べる習慣が有名です。(他にも、土用餅・土用しじみ・土用卵など栄養価の高いものがあります。)

土用は古代中国の陰陽五行説に由来し、四季に「木、火、土、金、水」を割り当て、春=木、夏=火、秋=金、冬=水として、残った「土」を四季の変わり目の18日間にあてはめたものです。

この期間は土神が支配する土の気が元気になるため、穴掘り草むしりなど土を動かすことは避けることとされてきました。

二百十日(にひゃくとおか)

二百十日は、二十四節気の「立春」から210日目の9月1日頃にあたります。

この時期は稲が開花する時期であるとともに、農作物に甚大な影響を及ぼす台風の上陸や暴風雨が多くなります。

この日に風を鎮めるための祈りや祭りが行われ、今でも各地でその伝統が続いています。

特に富山市八尾町で行われる「おわら風の盆」が有名で、300年以上の歴史があります。

二百二十日(にひゃくはつか)

二百二十日は、二十四節気の「立春」から220日目の9月10日頃にあたります。

二百十日と同様、台風や暴風雨が頻発する時期とされ、農家にとって注意が必要な日であるとともに、漁師にとっても漁や生命にかかわる目安として重要視されていました。

そうした災害を防ぐため昔から厄日として注意を払い、祈りや祭りが行われてきました。

2024年の一覧

各暦の日付は毎年1~2日前後することがありますので、確認が必要となります。

冬の土用 1月18日(木)
節分 2月3日(土)
春の彼岸入り 3月17日(日)
春の社日 3月15日(金)
春の土用 4月16日(火)
八十八夜 5月1日(水)
入梅 6月10日(月)
半夏生 7月1日(月)
夏の土用 7月19日(金) 7/24丑の日
二百十日 8月31日(土)
二百二十日 9月10日(火)
秋の彼岸入り 9月19日(木)
秋の社日 9月21日(土)
秋の土用 10月20日(日)

まとめ

雑節(ざっせつ)は、日本人の季節感や生活文化に合わせて季節の目印として作られ、二十四節気を補う大きな役割を果たしてきた日本独自の暦です。

天気予報などない時代から農作業の目安や注意を促し、祭りや祈願によって厄を払う特別な日は、季節と共に暮らす日本の生活に根ざした知恵として、それぞれ伝統行事や民間行事として広く浸透し、現代に受け継がれています。

古くから親しまれている節分やお彼岸以外にも、八十八夜に新茶をいただいたり、身近で催されている行事を調べてみるなど意識を向けると、新たな発見とともに暮らしの中で季節を感じられるのではないでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました