突然ですが、「喜寿(きじゅ)」とは何かご存じですか?
おめでたい感じの想像通り、「還暦」などと同様「長寿祝い」の1つとして、数え年77歳の節目のお祝いを指します。
年齢を重ねるごとに誕生日を迎えるご本人はもちろんのこと、家族や周りの人々にとって意味深いものになるのを感じます。
喜寿のお祝いが文字通り喜ばしい祝福の機会となるよう、由来や意義、プレゼントのポイントなどを調べました。ご覧ください。
喜寿について
数え年77歳の「長寿祝い」
「喜寿(きじゅ)」は伝統的には、数え年77歳を祝います。
「長寿祝い」60歳の還暦、70歳の古希の次に訪れる1つの節目とされています。
数え年とは、生まれた日を1歳とし、元旦(1月1日)を迎えるたびに1歳ずつ年齢を重ていく数え方で、伝統的な数え方としてお祝い年にも用いられてきました。
数え年77歳にあたる満年齢は76歳になりますが、近年は満年齢の77歳でお祝いする方も増えているそうです。
ちなみに2024年(辰年)に喜寿を迎える方は、こちらです。
・数え歳で77歳で祝うなら 昭和23年(1948年)生まれ
・満年齢で77歳で祝うなら 昭和22年(1947年)生まれ
また来年2025年(巳年)は、
数え歳祝いなら1949年(昭和24年)、満年齢祝いなら昭和23年(1948年)生まれの方となります。
「喜寿」の名の由来
77歳のお祝いを「喜寿」するのは、
「喜」のくずし字(草書体)が「㐂」であることから、「七七七」と三つの「七」を形作って見えることが由来とされています。
また、還暦や古希のお祝いは中国が発祥ですが、喜寿は日本が発祥で、室町時代から始まったと言われています。
江戸時代には国学者の大国隆正による歌
「ななそぢに七つあまれる喜びは/あらたなる御世にあへるなりけり」が残され、喜寿という言葉も広く知られるようになったそうです。
当時の平均寿命が50歳に満たないことを考えると、喜寿(77歳)を迎えるというのは、新しい天皇の治世が見れる程の長寿で、とても珍しく喜ばしいことだということが伺えます。
お祝いのポイントは
日程も形式もご本人主体で柔軟に
日本では75歳以上は後期高齢者と法律で定められていますが、実際の77歳はかつてに比べ若々しい方も多く、個人差も大きくなってくる年齢ではないでしょうか。(以前の職場で創設者の喜寿祝いに出席したことがありますが、その方は当時も週2~3回は出勤されていました。)
一般的なお祝いの仕方としては、食事会、旅行、贈り物を渡すなどが多いようです。
皆で集まって顔を見ることが一番のプレゼントとも言えますが、まずはお祝いされるご本人の意向や体調などを伺って、希望に沿ったものにするのが最善となるでしょう。
また主催者側の事情やご本人との関係性によって、規模や形式、日程などは計画的に柔軟性をもって検討し進めていく必要があります。
そのため、お正月、誕生日、ゴールデンウィーク、夏季休暇、敬老の日、記念日など、時期も厳密な規定はありませんので、どちらの年齢の数え方でも、そろそろ77歳を迎える方がいらっしゃる場合は、意識しておくとよさそうです。
どのような形であれ、きちんとお祝いされていると「自分は大切にされている」という思いがご本人のポジティブな気持ちに繋がり、今後も生きる力の支えとなる、というのが、喜寿をお祝いする意義の一つでもあるのではないでしょうか。
プレゼントのポイント
喜寿のテーマカラー紫色
紫は昔から高貴な色とされ、貴族や高僧のみが使うことを許された特別な色です。
年齢を重ねることへの敬意と畏敬の念を表すために、紫色がテーマカラーになったとされています。他にも紫色には癒しや不安を和らげるなど、人を労わる気持ちを込める際にも用いられるともいわれていますので、取り入れてみてはいかがでしょうか。
紫色にはさまざまなトーンがあり、やさしいピンクに近い淡い紫色から、格調高い雰囲気となる濃い紫色まで、贈る相手の個性や好みに応じて選ぶと、特別な思いが込められるのではないでしょうか。
なお、紫色は、喜寿以外にも古希(70歳)と卒寿(90歳)のテーマカラーとされており、それぞれの長寿祝い毎に他のテーマカラーが設けられています。
紫色の頭巾ちゃんちゃんこ座布団の伝統
近年では、伝統的なお祝いとしてこの3点をセットにしている場面に立ち会う機会は減少してきたかもしれませんが、年齢が上がってくるほど縁起物としてまだまだ根強い人気もあります。
・ちゃんちゃんこ
「ちゃんちゃんこ」は袖のない綿入り羽織りのことで、寒い時期に日常的な防寒着と大人も着用していました。
還暦のテーマカラーの赤色は、暦が1周し再び赤ちゃんに還って人生が始まることに由来します。そして赤ちゃんに魔除けとして赤いちゃんちゃんこを着せる風習にならって、還暦でも赤いちゃんちゃんこを贈り、お祝いをするようになったと言われています。
そのため喜寿でも還暦にならい、テーマカラーである紫色のちゃんちゃんこを着てお祝いするようになったそうです。
・頭巾
「頭巾(ずきん)」は頭を覆う被り物のことで、長寿祝いに被るものは正式には「大黒頭巾(だいこくずきん)」と呼ばれるものです。
大黒頭巾は江戸時代末期には年配者の象徴的な被り物として普及していたため、還暦のお祝いの際に、ちゃんちゃんこと合わせて被るようになったのが始まりと言われています。
その後、喜寿のお祝いでも頭巾を被るようになったそうです。
・座布団
かねてから座布団の四隅の糸を束ねた「ふさ」は、邪気を祓うと考えられていたため、喜寿を含め長寿祝いで座る人を邪気から守る、という意味が込められていると言われています。
※これら3点は、60歳や70歳では抵抗感があった場合にも、77歳の機会に揃えるという方もいらっしゃるそうです。
好みを尊重するのが一番
77歳は外見や体力などの個人差が大きく、若々しい気持ちでいらっしゃる方は多いものです。そのため、年齢を強調するようなプレゼントは避けた方が無難です。
喜寿を祝うというよりも、相手が心から欲しいと思えて喜んでもらえるものを選ぶことが大切です。
年相応のものを選ぶことも、また紫色が好みに合わないという場合には、色にこだわって無理に取り入れる必要もないのです。
そのため、お祝いの日程より少し早めに、日ごろから好みや興味関心があることなどをリサーチしておくと慌てずに済みそうです。
予算の目安
喜寿のお祝いにかける予算は、だいたい5千円もしくは1万円から5万円が一般的です。
お祝いされる方との関係性や旅行を含めた場合などで変動はありますが、
具体的な金額としては、
両親なら1~5万円、祖父母なら1~3万円、親戚や知人、恩師などなら5千円~2万円、友人その他なら5千円位が多いようです。
高価過ぎるプレゼントでお互いが負担にならないよう、心から喜んでもらえる常識の範囲内で予算を決めるのが望ましいのではないでしょうか。
プレゼントの具体例
喜寿のお祝いでプレゼントのみを贈る場合や、食事会や旅行などと併せても喜ばれるものを調べてみました。
お菓子(好みに合った和菓子、洋菓子)、飲み物(日本酒、ワイン、ジュース類)
食器や箸(名前入りのものなど)、花束、色紙(似顔絵、メッセージなど)
パジャマや部屋着、洋服全般、ファッション小物(マフラーやストール、帽子、手袋など)
趣味のもの(将棋やゴルフ、スポーツ用品など)
電化製品(マッサージ機、食洗器、ロボット掃除機など)
家事や疲れに対し便利な電化製品のプレゼントを嬉しいと思う方は多いようなので、複数名でお祝いの品を贈る場合には、マッサージ機や自動食洗器、ロボット掃除機などもよさそうです。
スポーツやアクティブに活動する方には、昨日的な服や帽子、靴など、外出を楽しみにするファッション小物も、元気であることを応援する気持ちとともに伝えられそうです。
室内でゆっくり過ごせたり、趣味や好きなことを楽しんで喜んでもらえるようなものを思い浮かべたり、ご本人に希望を聞いてみるとよいですね。
さらに、日ごろの感謝の気持ちを文章にして、似顔絵や色紙のメッセージを添えることで、記念にも日々の張り合いにもしてもらえたら、また格別ではないでしょうか。
まとめ
「喜寿」は77歳をお祝いする、伝統的な長寿祝いの一つです。
77歳は個人差も大きくなってくる年齢であるとともに、精神的に若々しい人も多いため、尊敬と祝福の気持ちを込めて、年齢を過度に強調することなく、ご本人の体調や希望に沿った日程や形式で柔軟にお祝いするのが最善です。
プレゼント選びでは、テーマカラーの紫色を取り入れると特別感も出ますが、無理にこだわらず、実用的な電化製品や飲食物などリクエストも含め、本当に喜んでもらえるものを用意したいものです。
これまでの感謝とこれからも長く元気でいてほしいという願いを、色紙などで添えてみるとまた格別なものとなることでしょう。
お祝いされる側にとっても、「自分は大切にされている」と感じることで、ポジティブな気持ちに繋がり、さらに元気でいられる支えとなることこそ、喜寿をお祝いする意義でもあると願っています。