旬の読み方「じゅん」と「しゅん」の違いは?意味・由来と言葉の広がり

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「上旬」の旬は“じゅん”、「旬の食材」の旬は“しゅん”。同じ漢字なのに、なぜ読み方も意味も違うのでしょうか・・・?
調べてみると、そこには古代中国の暦から日本の宮中行事、季節の食文化、現代の言葉づかいへと続く、意外なつながりが見えてきました。

由来から時代と暮らしを映す言葉の辿った旅路を、どうぞご覧ください。

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旬の読み方・意味の違い・言葉の広がりを一覧表でチェック

「旬」は、もともと10日間を表す時間の単位として使われ、やがて宮中行事、食べ物の盛り、人や話題を表す言葉へと意味を広げていきました。まずは全体の流れを一覧で見てみましょう。

読み方 主な時代・場面 意味 用例
旬(じゅん) 古代中国の暦から日本へ 10日間を表す時間の単位 上旬・中旬・下旬、旬日
旬(じゅん) 現代の気象・統計など 5日・10日単位で時期を区切る言葉 半旬、旬別データ
旬(しゅん) 日本の朝廷・宮中行事 旬政・旬儀・旬宴の略 二孟の旬、孟夏の旬、孟冬の旬
旬(しゅん) 食文化の中で一般に広がる 魚介・野菜・果物などの盛り 旬のタケノコ、旬の魚
旬(しゅん) 昭和後期以降のメディア表現から 今注目される人や話題 旬の人、旬の話題

「じゅん」と「しゅん」はまったく別の言葉というわけではなく、大元には「時間を区切る」という考え方があり、そこから季節や暮らしに寄り添う言葉へと広がっていったと考えられるのです。

以下の章で順番に辿っていきましょう。

「旬(じゅん)」は10日間を表す時間の単位

まずは「じゅん」と読む旬から見ていきます。上旬・中旬・下旬のように、今も日付や予定を表す言葉として使われています。

「旬(じゅん)」は古代中国の十干に由来する単位

「旬(じゅん)」は、10日間を表す時間の単位です。

その背景には、古代中国で日を数えるために使われた「十干(じっかん)」があります。
十干とは、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10の符号で、日にちを10日ごとのまとまりで数えるために用いられ、十干がひとめぐりする期間が10日間でした。

この10日間のまとまりを「一旬(いちじゅん)」と呼びます。
1か月を上旬・中旬・下旬の3つに分ける考え方も、ここにつながっています。

また、「旬」という漢字は「日」と「勹(めぐる)」から成り、十干がひとめぐりする10日間を表す字とされています。
つまり「旬」は、もともと季節の味覚を表す言葉ではなく、時間を区切る単位を表す言葉だったのです。

読み方の面では、「じゅん」は呉音(ごおん)です。呉音は、仏教語や古くからの漢語に多く残る読み方で、「上旬」「中旬」「下旬」「旬日」など、時間を表す言葉に今も見られます。

「旬日」ともいう

「旬日(じゅんじつ)」は、10日間、または10日ほどの期間を表す言葉です。

たとえば文章では、次のように使われます。

  • 旬日を経て、知らせが届いた
  • 旬日のうちに準備を進めた
  • 旬日ほど滞在する予定だった

日常会話ではあまり使われませんが、古い文章や改まった文体の中で見かけることがあります。ここでも「旬」は、10日間を表す時間の単位として使われています。

上旬・中旬・下旬に残る「じゅん」

「旬(じゅん)」の使い方として、もっとも身近なのが上旬・中旬・下旬です。

月をおおよそ3つに分けて時期を表す言葉で、予定や案内、ニュース、気象データなどでもよく使われます。

上旬・中旬・下旬はいつからいつまで?

上旬・中旬・下旬は、一般に次のように分けられます。

期間 備考
上旬 1日〜10日 月のはじめの10日間
中旬 11日〜20日 月の中ほどの10日間
下旬 21日〜月末 月末までの期間で8~11日間

上旬と中旬は10日間ですが、下旬は月によって日数が変わります。

  • 31日まである月:21日〜31日で11日間
  • 30日まである月:21日〜30日で10日間
  • 2月:21日〜28日で8日間、うるう年は21日〜29日で9日間

上旬・中旬・下旬を合わせると、1か月を3つの旬に分けた形となり、またこの3つを合わせて「三旬(さんじゅん)」と表すこともあります。

ただし、予定や納期のように日付の取り違えを避けたい場面では、「6月上旬」だけでは幅があります。そのため、書面や案内では「6月10日まで」「6月5日ごろ」など、日付を添えると伝わりやすくなります

初旬と上旬は同じ意味?ニュアンスの違い

「初旬」と「上旬」は、辞書では同じ意味として扱われ、どちらも月の1日から10日ごろを指す言葉です。

ただし、日常の感覚では少し受け取られ方が異なります。

  • 上旬:1日〜10日という区切りを表す印象が強い
  • 初旬:月のはじめ、1日〜数日ほどの印象を持たれやすい

たとえば「6月上旬に連絡します」と聞くと、10日ごろまでの幅を想定しやすいでしょう。一方、「6月初旬に連絡します」と聞くと、月が始まってすぐの数日を思い浮かべる方もいます。

本来は同義でも、実際の受け止め方には差が出ることがあるため、仕事の予定や申し込み期限などでは、「上旬」「初旬」だけで終わらせず、必要に応じて日付を添えるのが無難です。

旬割計算とは?10日単位の考え方

「旬割計算」は、10日をひとまとまりとして期間や料金を計算する考え方です。なお、「旬割」は一般に「しゅんわり」と読みます
読み方は「しゅん」ですが、10日単位で期間を区切る「じゅん」の意味に近い使い方です。

旬割計算は、たとえば次のような場面で見られます。

  • 定期券の払い戻し
  • 定期券の区間変更
  • 一部サービスの契約期間や料金計算
  • 規約や案内文での期間計算

日常会話ではあまり使わなくても、鉄道会社の案内ページや契約関連の説明で目にすることがあります。

ただし、1旬に満たない端数をどのように扱うかは、会社や制度によって異なり、月末を含む場合には、1旬が実際の日数としては8日・9日・11日になるケースもあります。実際に手続きする場合は、それぞれの案内文を確認しておきましょう。

このような内容からも、「旬(じゅん)」が単なる古い言葉ではなく、今も制度や料金計算の中に残っていることが実感できるのではないでしょうか。

気象用語に残る「半旬」

「半旬(はんじゅん)」は、旬の半分、つまり5日間を表す言葉です。

日常会話ではあまり使われませんが、気象の世界では今も使われています。気象庁の用語では、半旬は連続する5日の期間を指し、区切り方によって「通年半旬」と「暦日半旬」があります。

  • 通年半旬:毎年1月1日から5日ごとに区切る期間
  • 暦日半旬:毎月を1日〜5日、6日〜10日、11日〜15日のように区切る期間

暦日半旬では、毎月第1半旬から第6半旬までに分けられ、たとえば、1日〜5日が第1半旬、6日〜10日が第2半旬、26日〜月末が第6半旬と数えます。

気象データでは、気温や降水量などを半旬ごとにまとめるのに用いられています。
古代中国に由来する「旬」の考え方が、現代の気象データにも形を変えて残っているのは、興味深いところですね。

「旬(しゅん)」は日本の宮中行事を表した言葉

次に、「しゅん」と読む旬を見ていきます。食べ物の旬へ広がる前に、日本の朝廷で行われた宮中行事としての「旬」に由来がありました。

政務:旬政・旬儀・旬宴とは

古代から平安時代にかけて、日本の朝廷では中国から持ち帰った「旬政(しゅんせい)」「旬儀(しゅんぎ)」「旬宴(しゅんえん)」と呼ばれる行事がありました。

これは、毎月の各旬の初めにあたる1日・11日・21日、さらに16日などに、天皇が紫宸殿(ししんでん)に出向いて、臣下から政務を聞き、酒宴を賜る儀式でした。

これらの行事の一連のプロセスを分けて説明いたします。

  • 旬政:旬の日に行われた政務の儀式
  • 旬儀:旬に行われる儀式
  • 旬宴:儀式のあとに開かれた宴

ここでの「旬」は、10日間の区切りを背景にした言葉です。ただし、読み方は当時使者を派遣した中国の長安で用いられていた漢音(かんおん)の「しゅん」とされました。

また、これらの行事のことを旬(しゅん)と略して呼ばれたと、広辞苑にも記述があります。

「じゅん」は古くからの音として時間の単位として残り、「しゅん」は中国から伝えられた宮中儀礼の言葉として用いられたのですね。
同じ漢字ですが、読み方と場面の違いが生じているというわけです。

二孟の旬:宴と季節をまとう言葉へ

平安時代中期以降、旬の儀式はしだいに簡略化され、4月1日と10月1日の年2回行われるようになりました。

4月は孟夏(もうか)の旬、10月は孟冬(もうとう)の旬と呼ばれ、あわせて「二孟(にもう)の旬」といいます。

  • 孟夏の旬:かつての暦4月1日、夏の始まりにあたる時期
  • 孟冬の旬:かつての暦10月1日、冬の始まりにあたる時期

「孟」は、季節のはじめを表す言葉で、孟夏は夏のはじめ、孟冬は冬のはじめを意味します。

もともとは政務と宴の儀式だった「旬」が、年2回の季節の節目と結びつくことで、次第に季節感をまとった言葉として受け取られるようになっていきました。

ここが、食べ物の「旬(しゅん)」へつながる大切な分岐点であるともいえます。

孟夏の扇と孟冬の氷魚が伝える季節感

二孟の旬では、季節にちなんだ品が臣下へ贈られました。孟夏の旬には扇、孟冬の旬には氷魚が賜られたとされています。

扇は、これから暑い季節を迎える時期にふさわしい品で、一方の氷魚は、冬の訪れを告げる食材として印象的な存在でした。

氷魚(ひお・ひうお)とは、アユの稚魚のことを指します。体長は数センチほどで、まだ体が透き通っているため、氷のように見えることから「氷魚」と呼ばれました。

特に琵琶湖の氷魚は、古くから知られていました。一般的なアユは川で生まれたあと海へ下って成長しますが、琵琶湖のアユは湖を海のようにして育つ特徴があるため、冬の琵琶湖では氷魚が獲れ、京都の宮廷へ運ばれました。

冷蔵技術や現代のような輸送手段がない時代に、傷みやすい小さな魚を季節の儀式に合わせて届けることは、たいへんな手間を伴ったはずです。透き通るような見た目、限られた時期に届く初物、冬の始まりを告げる趣。氷魚には、平安の人々が好んだ季節の美意識が重なっていたのでしょう。

ただし、食べ物の「旬」という意味が氷魚だけから直接生まれた、と言い切るのは慎重にしたいところです。宮中行事、季節の節目、初物を楽しむ文化が重なり、のちに食べ物の盛りを表す「旬」の感覚につながっていったと見ると、言葉の流れが自然に見えてきます。
次の章で詳しく見ていきましょう。

氷魚と書いて「こまい」と読む魚もありますが、こちらは北海道などで見られるタラ科の魚で、アユの稚魚である氷魚とは別の魚です。

食べ物の「旬(しゅん)」への広がり

宮中行事の「旬」は、やがて食べ物の盛りを表す言葉として広がるきっかけになりました。ここでは、さらに季節の節目と食文化の関係を見ていきます。

季節の節目と初物を楽しむ文化の広がり

食べ物の「旬」は、魚介・野菜・果物などがよくとれ、味わいがのる時期を表します。

この意味は、日本の食文化の中で育ってきたものです。
宮中行事としての「旬」には、季節の節目に宴や下賜品を伴う文化があり、そこに、初物(はつもの)を喜ぶ感覚や、季節ごとの食材を大切にする暮らしが重なっていきます。

もちろん、宮中の行事がそのまま庶民の食卓に広がったわけではありません。
長い年月をかけて、季節の節目を味わう感覚が人々の暮らしに根づき、室町から江戸時代にかけて、食べ物の盛りを「旬」と呼ぶ使い方が広がっていったと考えられます。

江戸の食文化に見る「旬」の感覚

江戸時代には、初物を喜ぶ文化が広く見られ、たとえば初ガツオ、初ナス、初物の野菜や魚など、季節の先ぶれとなる食材は、人々の関心を集めました。

江戸の町では、流通が発達し、魚や野菜が市場に集まるようになります。旬の食材は、単なる食べ物ではなく、季節を知らせる合図でもありました。

たとえば初ガツオには、初夏の勢いが重ねられました。春のタケノコ、秋のキノコ、冬のブリなども、それぞれの季節を感じさせる食材です。

こうした食文化の中で、「旬」は季節と味覚を結ぶ言葉として、人々の暮らしに入り込んでいきました。

「今だけ」の食材を味わう感覚

食べ物の「旬」には、「今だけ」という感覚があります。

現代のように冷蔵・冷凍技術や物流が発達していなかった時代には、野菜や魚がよい状態で出回る期間は限られていました。とれる場所、運ぶ手段、気候、保存のしやすさによって、食べられる時期は大きく左右されます。

だからこそ、旬の食材には「この時期だからこそ味わえる」という価値がありました。

今では、多くの食材が季節を問わず店頭に並びます。ハウス栽培、冷蔵・冷凍、輸入、流通網の発達によって、昔よりも食材の季節感は見えにくくなりました。

けれど、そのような時代だからこそ、旬を意識することには別の魅力があります。
春に春の山菜を味わう。夏にみずみずしい野菜を楽しむ。秋に実りの食材を取り入れる。冬に脂ののった魚を味わう…旬は、暦や季節の移り変わりを、食卓で感じる手がかりにもなります。

「今だけ」の食材を味わうことは、単に食べ物を選ぶことではなく、季節と自分の暮らしを結び直すことでもあるのです。

旬の味わい方:走り・盛り・名残

日本の食文化では、旬をさらに細かく味わう言葉があります。それが「走り」「盛り」「名残」です。

意味 楽しみ方
走り 出始めの時期 季節を先取りする喜びを味わう
盛り 出回りの中心となる時期 その食材らしい味わいを楽しむ
名残 終わりに近い時期 過ぎゆく季節を惜しみながら味わう

「走り」は、少し早めに出回る初物です。量はまだ少なく、価格も高めになることがありますが、季節の訪れを感じる楽しみがあります。

「盛り」は、その食材が多く出回る中心の時期です。食卓に取り入れやすく、その食材らしい味わいを楽しみやすい時期といえるでしょう。

「名残」は、旬の終わりに近い時期です。食材によっては、味わいや食感に変化が出ることもあります。過ぎゆく季節を惜しみながら味わう感覚が込められています。

同じ食材でも、走り・盛り・名残では受け取り方が変わります。ここにも、旬という言葉が持つ奥行きが見えてきます。

「旬の人」「旬の話題」に広がった現代の使い方

食べ物の盛りを表した「旬」は、やがて人や話題にも使われるようになりました。現代語としての「旬」には、時代の空気も映っています。

食べ物の盛りから人や物事の盛りへ

「旬」は、食べ物だけでなく、物事を行うのにふさわしい時期を表す言葉としても使われます。

たとえば、次のような言い方です。

  • 紅葉を見るなら、今が旬だ
  • このテーマを取り上げるなら、今が旬かもしれない
  • 旅行先として旬を迎えている地域
  • 今読むとおもしろい、旬の本

ここでは、魚や野菜の出盛りから転じて、「今取り上げるのにふさわしい」「今もっとも注目されている」という意味になっています

言葉は、時代や世相、人々の暮らしを映す鏡のようなものです。食べ物の盛りを表した「旬」が、人や話題の盛りへ広がったことも、社会の移り変わりと重ねて見ることができます。

大正から昭和初期の辞書では、「旬」は食べ物のよい時期や、物事に適した時期として説明されることが中心でした。「人気のある人」「話題の人物」という意味が広く定着したのは、意外と最近のことと考えられます。

昭和後期以降メディアや広告にも広がった「旬」

昭和後期以降、テレビ・週刊誌・広告などのメディアでは、「旬の人」「旬の話題」という表現が広く見られるようになりました。

この使い方には、移り変わりの速い時代背景が重なっています。テレビや雑誌が多くの人の関心を集め、芸能人、作家、スポーツ選手、文化人などが一気に注目される時代になりました。
そこで、今まさに関心が集まっている人や物事を表す言葉として、「旬」が使われるようになったのでしょう。

1980年代後半から1990年代にかけては、『現代用語の基礎知識』のような時代の言葉を記録する資料でも、若者言葉や世相・流行に関わる言葉として扱われたとされます。さらに1990年代以降には、広告やマーケティングの分野でも、「旬のタレント」「旬のテーマ」「旬のキーワード」といった表現が目立つようになりました。

また、1993年度から1995年度にかけて、NHKでは『旬の人旬の話』というトーク番組が放送されていました。日曜の早朝に放送された番組で、21世紀の学術・科学・文化を築くうえで注目される人物にスポットを当てる内容だったのですが、覚えていらっしゃいますか?
指揮者の佐渡裕氏、医師の中村祐輔氏、作家の高村薫氏などが出演されていました。

「旬の人」という表現は、単に流行している人を指すだけではありません。
今、社会の中で光が当たり、その人の活動が多くの人に届いている、そうした意味合いも含んでいます。

今注目されている人や話題を表す「旬」の用例

現代では、「旬」はさまざまな場面で使われています。

  • 旬の俳優
  • 旬のアーティスト
  • 旬の作家
  • 旬の話題
  • 旬のテーマ
  • 旬の観光地
  • 旬のキーワード
  • 旬のニュース

たとえば「旬の俳優」といえば、今まさに作品への出演が増え、多くの人から注目されている俳優を指します。「旬の話題」は、現在の世相と重なり、多くの人が関心を寄せているテーマです。

ここでの「旬」には、食べ物と同じように「今」という時間の感覚があります。永遠に続くものではなく、その時期だからこそ輝いて見えるもの。そうした短い盛りを表すのに、「旬」という言葉はよく合っているのです。

似た表現に「時の人」があります。「時の人」は、世間で話題になっている人物を指し、ニュース性のある出来事や社会的な注目を集めた人物にも使われます。
一方で「旬の人」は、食べ物の旬から広がった言葉らしく、今まさに注目されている盛りや、その時期ならではの輝きに目を向ける表現といえるでしょう。

短い時のきらめきを表す言葉として定着

「旬の人」「旬の話題」という表現には、少し儚い響きもあるのではないでしょうか。

食べ物の旬が長く続かないように、人や話題の旬もまた、時間とともに移り変わっていきます。
だからこそ、「今」注目されていること、「今」語られるべきことを表す言葉として、旬は現代にもなじんでいます。

ただし、人に対して使う場合には、少し配慮も必要です。
「旬を過ぎた」という言い方は、相手によっては冷たく響くことがあります。記事や会話で使うときは、「今注目されている」「今話題を集めている」など、文脈に合わせて言い換えるとやわらかく伝わります。

旬という言葉は、短い時のきらめきを表す言葉です。
食材にも、人にも、話題にも、それぞれに輝く時があります。その限られた時間をすくい取るように、「旬」という言葉は使われてきたのではないでしょうか。

まとめ:「旬」は限られた時を見つめる言葉

「旬」は、時間を区切る言葉であり、季節を味わう言葉でもあります。「じゅん」と「しゅん」のつながりを振り返ってみましょう。

・旬という漢字には、「じゅん」と「しゅん」という2つの読み方があります。

・「じゅん」は、10日間を表す時間の単位で古代中国の十干に由来し、上旬・中旬・下旬、旬日、半旬、旬割計算などにその名残が見られます。

・「しゅん」は、中国から持ち帰った日本の宮中行事である旬政・旬儀・旬宴を表す言葉として用いられ、平安時代中期以降には、孟夏の旬と孟冬の旬という年2回の儀式になり、扇や氷魚など、季節にまつわる品とも結びつきました。

・やがて、季節の節目や初物を楽しむ文化が重なり、食べ物の盛りを表す「旬」へと意味が広がっていきました。

・さらに現代では、「旬の人」「旬の話題」のように、人や物事の盛りを表す言葉としても使われています。

一見すると別々に見える「じゅん」と「しゅん」。けれど、どちらにも共通しているのは、限られた時を見つめる感覚ではないでしょうか。

上旬・中旬・下旬のように時を数える場面にも、旬の味覚を楽しむ場面にも、旬の人や話題を語る場面にも、「今」という時間へのまなざしがあります。

旬は、単なる読み方の違いにとどまらない言葉だと思いませんか?
時間を区切り、季節を受け取り、暮らしの中で今を味わう・・・そんな実用性と歴史の奥行きを持つ言葉として、これからも私たちの身近で用いられていくのではないでしょうか。

 

 

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