子どもの頃、「そろそろ冬休みも終わるから、お正月気分は終わりね」といわれて、お正月が終わっていました。
大人になると、年明け初出勤に合わせて前日に終わり、実際はお正月がいつまでなのか、準備や飾りの片づけはいつするのか、これらは地域によって異なることなど、気になったまま過ごしてきました。
改めてもう少し色々知りたいと思い、お正月期間内の名称や行事や風習、松の内など、地域による違いについて調べて整理しましたので、ご紹介いたします。
「お正月」について

「お正月」の意味するところは
期間としてのお正月
そもそも「お正月」とは、どの期間を指すのでしょうか。
もともと「正月」は、旧暦での一年最初の月の呼び名で、「1月=正月」という意味でした。つまり、本来は1月1日~1月31日までの1か月間を指していました。
ただ、現代の日常会話で「お正月」と言うとき、多くの人がイメージするのは次のような期間ではないでしょうか。
- 1月1日〜1月3日:三が日(さんがにち)
- 1月1日〜1月7日:松の内(まつのうち)※主に関東・九州など
- 1月1日〜1月15日:小正月(こしょうがつ)までを含む考え方の地域※主に関西など
- 1月1日〜1月20日:二十日正月(はつかしょうがつ)まで含める地域も
このように、「正月期間」は一つに決まっているわけではなく、どこまでをお正月と考えるかには、地域性や暮らし方による違いがあります。
また、神社やお寺、伝統行事としては、1月を通してさまざまな正月行事が続きますので、現代においてもある意味では、「1月全体が広い意味での『お正月』」と捉えることもできるでしょう。
お迎えする神さまとしてのお正月(正月様)
お正月の行事は、新年に年神様(歳神様)をお迎えし、感謝とお祝いをするものです。
その年神様には別の呼び名がいくつもあり、「正月様」もそのひとつといわれています。その正月様が訪れる月であることから、新年最初の月は「お正月」といわれるという説もあるほどです。
お正月とは何をするの?

日本のお正月は、ただカレンダーが新しい年に変わるだけの日ではありません。
古来より、お正月は、「年神様/歳神様(としがみさま)」と呼ばれる新年の神さまをお迎えし、感謝とおもてなしにより新たな年をお祝いをする期間、と考えられてきました。
年神様は、
- その年の五穀豊穣
- その年のあらゆる福徳
- 祖先として家族の子孫繁栄・無病息災
などを司る神さまとされ、元日の朝、初日の出とともにその年の恵方(吉方)とされる高い山からその年の福徳をもたらすため、各家庭に訪れてくれると考えられてきました。
そのため、お正月の前から次のような準備を整えてお迎えするのです。
- 大掃除:一年のほこりを払って家を整える
- 門松やしめ飾りを飾る:年神様が訪れる目印にする
- 鏡餅をお供えする:年神様の宿る場所として用意する
- おせち料理・お屠蘇・雑煮を作る:年神様へのお供えと、新しい年を迎える祝膳
こうした正月飾りの意味やお正月にすることを意識すると、「お正月の期間=年神様をお迎えしてお見送りする一連の時間」として、とてもイメージしやすくなるのではないでしょうか。
お正月の始まりと歴史変遷
日本の正月文化は、古代から長い歴史のなかで、年神信仰と外来の文化や新たな暦による調整などから、現在の多様な正月行事および正月期間が形づくられてきました。
その成り立ちは、古代の信仰と農耕の暮らしと深く結びついており、年の実りを授け、家の繁りを見守る年神様をお迎えして、感謝を捧げる行事として新年を祝っていました。
「正月」の「正」には「年があらたまる」という意味があり、年の初めは「魂が新しくなる」節目と考えられてきたため、かつては各自の誕生日に歳をとるのではなく、みんな一斉に新年の元旦に年神様から1歳いただいて歳をとり、そのお祝いをする習慣もありました。(年が改まる→新魂あらたま)
その後、中国から暦や年中行事が伝わり、かつての暦による大正月・小正月などの区分が広まり、特に江戸時代には、正月期間に地域性も生じるようになりました。
明治時代に現在の暦が採用されると、1月1日から始まるお正月が全国で定着するようになったのです。
- 古くは、月の満ち欠けを基準にした暦で、最初の満月の日(かつての暦の1月15日ごろ)=正月と考えられていた。現在の「小正月(こしょうがつ)」の起源
- その後、中国の暦法の影響などを受けて、かつての暦1月1日を正月とする考え方が広まり、かつての暦1月1日(新月)=大正月、1月15日(満月)小正月と区別された
- 江戸時代に松の内の期間に地域性が生じた
- 明治時代に現在の暦(グレゴリオ暦)が採用され、1月1日から正月とする今の形に定着
時代とともにお正月の過ごし方は多様に変化し、学校の冬休み、帰省、旅行、初売りや福袋など行動も一般的になりました。
それでも、年神様を迎えておせちや雑煮を囲み、新しい年の始まりに感謝する気持ちを家族で分かち合うという根本の意味は、今も大切に受け継がれています。
旧正月について
「旧正月」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
旧正月とは、かつての暦に依拠した正月のことを指し、月の満ち欠けに合わせて月日が決まるため、毎年日付が変わります。
中国や韓国、ベトナムなど、アジアの国々では今も旧正月を盛大におい祝いしています。
日本では、公式な年明けは1月1日ですが、沖縄の一部地域、奄美地方など、今も旧正月を祝う習慣が残っているところがあり、1月1日の正月と、かつての暦に基づく旧正月の「二度の正月」がある地域も存在します。
こうしたことからも、「お正月の期間」や「正月行事」は、暦や地域によってかたちを変えながら受け継がれてきたことが伺われますね。
お正月はいつまで?種類と期間

お正月は「三が日まで」と感じる方が多い一方で、伝統行事としては松の内・小正月・二十日正月など、区切り方がいくつもあります。さらに松の内(7日/15日)を中心に、地域によって正月飾りを片づける目安も変わります。
まずは代表的な名称と期間を、一覧で整理してみましょう。
お正月の種類と期間・主な行事・地域性などに関する一覧表
| 名称 | 期間・日付の目安 | 主な行事・過ごし方 | 主な地域性/補足 |
| 広い意味の「正月」 | 1月1日〜1月31日 | 1月を通して寺社・地域行事が続くことも/年始の行事を「1月の行事」として捉える場合 | 全国(本来の「正月=一年最初の月」という意味合い) |
| 三が日 | 1月1日〜1月3日 | 年始のあいさつ、初詣、家族で祝膳など | 全国(官公庁など仕事休み期間で、最も一般的な「お正月期間」の行事を味わう) |
| 松の内 | 1月1日〜1月7日 または 〜1月15日 | 正月飾り(門松・しめ飾り等)を飾る/年神様をお迎えする期間の目安 | 7日まで:関東中心(+東北・九州など)/15日まで:関西中心(西日本)の傾向 |
| 七日正月 | 1月7日 | 人日の節句(七草がゆ)など | 全国(※「松の内の最終日」と重なる地域が多い) |
| 大正月 | 1月1日〜1月7日頃 | 「大正月/小正月」と対で説明されることがある | 全国:年神様を迎え留まる期間、かつての暦による名残りの名称 |
| 小正月 | 1月15日頃 | 小豆がゆ、餅花・まゆ玉、火祭り(左義長/どんど焼き)など | 全国(とくに15日松の内の地域=関西中心はお正月期間終了の節目に) |
| 二十日正月 | 1月20日 | 「正月の締め(祝い納め)」として片づけ・食べ納めなど、小正月との行事の重なり(火祭り)も | 関西中心(西日本)で「正月納め」として残る地域が多い。鏡開きを1/20にする地域(京都など)も |
| 晦日正月/晦日節 | 1月31日 | 新しく餅をついて神に供える/松の内に年始回りできなかった親類を訪ねるなど | 中部地方などで伝わる行事 |
お正月の期間は、考え方によりさまざまですが、大きく分けて以下の指す内容について、順番に整理してまいります。
- 1月1日~1月31日までの1か月間:1月=正月(従来の捉え方、宮中・寺社での各種行事)
- 1月1日:元日・国民の祝日
- 1月1日〜1月3日:三が日(さんがにち)
- 1月1日〜1月7日:七日正月(なのかしょうがつ)※主に関東・九州など松の内
:大正月(だいしょうがつ)と呼ばれることも - 1月1日〜1月15日:小正月(こしょうがつ)までを含む考え方の地域
※主に関西など松の内 - 1月1日〜1月20日:二十日正月(はつかしょうがつ)まで含める地域も
- 1月31日:晦日正月(みそかしょうがつ)を祝う地域も
1月1日:元日・国民の祝日

1月1日は、一年の最初の日。国民の祝日として祝日法でも「年のはじめを祝う日」と定められている、とても特別な日です。
この日に関わる言葉として、よく「元旦」「元日」がありますが、意味には少し違いがあります。
- 元旦(がんたん):1月1日の朝、日の出ごろから午前中の時間帯
- 元日(がんじつ):1月1日の一日全体
「旦」という漢字は、地平線から太陽が昇る様子を表しており、本来「元旦」は「一年のはじめの朝」を意味する言葉です。
また、多くの地域で行われているのが初日の出を拝む風習です。
- 年神様が初日の出とともにやってくる
- 最初の日の出に向かって今年一年の目標や願い事を心に描く
といった意味合いを込めて、山や海辺、高台などに出かける方も多いですね。
1月1日〜1月3日:三が日さんがにち
1月1日〜3日は「三が日(さんがにち)」です。多くの会社や学校が休みになりやすく、年のはじめの「お正月らしさ」がいちばん濃く感じられる期間でもあります。
三が日に多い過ごし方は、たとえば次のようなものです。
- 年神様をお迎えし、家族で新年を祝う
- おせち料理やお雑煮をいただく
- 親族が集まり、年始の挨拶を交わす
また、おせち料理には「年始は台所仕事を少しゆるめ、かまど(台所)にまつわる神さまにもひと休みしてもらう」という言い伝えがあります。
昔は三が日のあいだ火を使う回数を抑え、前もって用意したおせちをいただくことで、年のはじめをゆったり迎える工夫にもなっていたのでしょう。
1月7日:七日正月なぬかしょうがつ/人日の節句じんじつのせっく

1月7日は「七日正月(なぬかしょうがつ)」、または「人日の節句(じんじつのせっく)」として知られる節目の日です。五節句の一つでもあります。
この日に行われることとして代表的なのがこちらです。
- 春の七草(せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ)を刻んで入れた「七草がゆ(ななくさがゆ)」をいただく
- 正月の区切りとして、松飾りを外す(地域による)
七草がゆは、年始のごちそうが続いたあとに食卓のリズムを整えたり、青菜の香りで気持ちを切り替えたりする“節目の一膳”として親しまれてきました。
また、松の内を1月7日までとする地域(関東など)では、七日正月が「松の内の終わり」と重なりやすいのもポイントです(※松の内に関しましては、次章で詳しくお伝えいたします)。
大正月おおしょうがつ
「大正月(おおしょうがつ)」は、1月1日から7日ごろまでを指す言い方として紹介されることがあります。説明のされ方には幅がありますが、記事の中では「正月行事の前半(中心)」として整理すると分かりやすいでしょう。
大正月のイメージを要点でまとめると、次のようになります。
- 元日から七日正月あたりまでを「ひとまとまり」に捉える
- 年神様をお迎えし、年始の挨拶や祝いの席が続く時期として意識されやすい
- 後半の節目(小正月)と「対」で語られることがある
この区分には、月の満ち欠けを基準にしていたかつての暦の感覚に関わりがあります。
元日側(新月のころ)と十五日側(満月のころ)に節目があり、行事を前半・後半で捉える見方が現在の暦で名称として残った――と押さえておくと、背景がわかりやすいのではないでしょうか。
1月15日:小正月こしょうがつ

1月15日を中心とする前後2~3日を含めた時期は、「小正月(こしょうがつ)」です。
大正月が「お迎え」の色合いが強いのに対し、小正月は「締め」や祈り直しの雰囲気が濃くなるのが特徴です。
小正月に挙げられやすい風習は、たとえば次のとおりです。
- 小豆がゆ(あずきがゆ)をいただき、一年の暮らしを願う
- 餅花(もちばな)・繭玉(まゆだま)などを飾り、実りを願う(地域による)
- どんど焼き/左義長(さぎちょう)で正月飾りなどを焚き上げる(地域による)
さらに小正月は「女正月(おんなしょうがつ)」と呼ばれることもあります。大正月の間に家事やもてなしで忙しかった人が、ひと息つく日――という意味合いで語られてきたためです。
また、関西などでは松の内を1月15日までとする考え方もあり、その場合は小正月が「松の内の終わり」と重なり、区切りとして意識されやすくなっています。
1月20日:二十日正月はつかしょうがつ
1月20日は「二十日正月(はつかしょうがつ)」です。この日をもって正月行事を締めくくる地域もあります。
二十日正月は、意味合いも含め小正月(15日頃)同様にどんど焼き/左義長が行われる地域も多いようです。
- お正月用に用意した魚や食材を食べ切り、区切りをつける
- 正月の空気を切り替え、日常の暮らしへ戻る
- 呼び名として「骨正月」「頭正月」などが紹介されることもある
「何か新しい行事を加える日」というより、正月を納める気持ちを整える日として伝えられています。
1月31日晦日正月みそかしょうがつ
1月31日(1月の晦日)を「晦日正月(みそかしょうがつ)」として捉える地域もあります。
- 1月末を節目として、新しく餅をついてお供えする
- 松の内に年始回りできなかった親類を訪ねる
- 12月31日ではなくこの日にそばを食べる地域もある
ここまでさまざまなお正月の種類を挙げてみると、「お正月とは節目が連なって続く行事」だというふうに見えてきませんか?
お正月は松の内まで:松の内とは?

「お正月は、結局いつまでなの?」と迷ったとき、いちばん目安にしやすいのが「松の内(まつのうち)」です。
松の内は、門松などの正月飾りを出しておく期間のことで、それは年神様をお迎えしてお見送りするまでの期間を意味することから、すなわちお正月期間として考えると理解しやすくなります。
7日松の内/15日松の内
松の内の終わりは、全国で一律ではありません。目安としては次のように整理できます。
- 関東を中心に:1月7日まで(7日松の内)
- 関西を中心に:1月15日まで(15日松の内)
この違いがあるため、年賀状の区切りや初詣のタイミング、正月飾りを外す日なども、家庭や地域で幅が出やすいのですね。
松の内が終わったら正月飾りを片づける
松の内が明けたら、門松やしめ飾りなどを外していきます。これは、年神様をお見送りして、年始の行事にひと区切りをつけるという意味合いです。
片づけの目安はシンプルで、
- 7日松の内の地域:1月7日を過ぎた頃
- 15日松の内の地域:1月15日を過ぎた頃
と考えると、予定が立てやすいです。
そして、ここでひとつ押さえたいのが鏡餅です。鏡餅は「鏡開き」で下げていただく流れが一般的なので、正月飾りとは少し別テンポで考えると整理しやすくなります。
鏡開きの目安は1月11日

鏡餅は、お正月の飾りの中でもとくに意味合いが深い存在です。
丸い形には「円満」や「調和」への願いが込められ、年神様の依り代(よりしろ)としてお供えする特別なお餅と考えられてきました。
二段に重ねる形には「年を重ねる」という意味が重ねられ、上にのせる橙(だいだい)には「代々続く繁栄」への願いが託されています。
そしてお正月のあいだ、鏡餅には年神様が宿ると考えられるため、鏡開きでお餅を分けていただくことには、年神様から授かった力を身体の内に迎え入れ、新しい一年を元気に過ごす願いを込める――そんな大切な意味が結びついています。
日程の目安としては、1月11日に鏡開きを行う家庭が多い一方で、松の内の区切り方に合わせて
1月15日、1月20日、(京都の一部地域によっては)1月4日など、別日程で行うところもあります。
外した正月飾りはどうする?

外した正月飾りの納め方で代表的なのが、どんど焼き(地域によって左義長など)です。
小正月の頃(1月15日前後)や二十日正月(1月20日)に、神社や田んぼ、地域の広場で行われ、正月飾りや書き初めなどを持ち寄って焚き上げるスタイルです。
会場ごとに受付品目やルールが決められていますので、案内に沿って納めましょう。
また、地域によっては、そのような風習がない場合もありますし、仕事などの都合で日程が合わなかったという場合もあるでしょう。
そのような時は、自宅で片づけることも可能で、新聞紙などに包み、塩をひと振りして気持ちを整えてから、自治体の分別ルールに合わせて処分するのです。
どちらを選ぶ場合でも、正月飾りは年神様をお迎えした大切な飾りですので、最後は「ありがとう」の気持ちで片づけられると、日常へと気持ちよく切り替えやすくなるでしょう。
「関東は7日まで」が広まった背景
歴史的には「松の内は15日まで」という感覚が根強い一方で、関東では「7日まで」が定着しています。
背景としてよく語られるのが、江戸時代の慣習の影響で、鏡開きを20日から11日に早めた流れと結びつけて、松の内も短くなり、江戸を中心に広がった――という経緯などが伝えられています。
お正月特有の行事・風習について

ここからは、お正月といえば思い浮かぶ行事や風習について、「いつ頃まで行われるのか」という視点で整理していきます。
お正月は三が日だけで終わるものではなく、松の内や小正月など、いくつかの節目を経ながら日常へ戻っていく期間行事としての流れを意識して見ていきましょう。
お正月に使う伝統的な言葉・挨拶
お正月には、ふだんとは少し異なる挨拶の言葉を使います。代表的なものは次のとおりです。
- 明けましておめでとうございます
→ 年が明けたことを喜び合う、もっとも一般的な新年の挨拶 - 謹賀新年(きんがしんねん)
→ かしこまった場面や年賀状で用いられる賀詞 - 迎春(げいしゅん)・賀正(がしょう)
→ スペースの限られた年賀状などで使われる簡潔な賀詞
最初のひと言は、「明けましておめでとうございます」であれば、ビジネス・プライベートともに失礼になることはほとんどありません。
そのあとに、「旧年中はお世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。」と続けると、丁寧で落ち着いた印象になります。
これらの挨拶を使う時期の目安は、松の内までとされることが一般的です。
関東では1月7日頃まで、関西では1月15日頃までを区切りとして考える方が多く、それ以降は寒中見舞いなどに切り替えるケースがよく見られます。
なお、話し言葉としての「あけましておめでとうございます」は、地域を問わず1月7日頃までを目安に使われることが多く、8日以降は「今年もよろしくお願いします」といった表現に切り替える方が自然な場面が増えてくる傾向です。
おせち料理・お雑煮はいつ食べる?
おせち料理やお雑煮は、お正月の食卓を代表する料理ですが、「いつまで食べるのか」に明確な決まりがあるわけではありません。
- おせち料理
→ 主に三が日(1月1日〜3日)を中心にいただく家庭が多く、松の内いっぱいまで少しずつ食べる場合もあります。 - お雑煮
→ 元日に食べ始め、家庭によっては松の内のあいだ何度か登場することもあります。
もともとおせち料理は、年始のあいだ台所仕事をひかえ、年の初めを穏やかに過ごすための知恵と結びついてきました。
お雑煮もまた、鏡餅とは別に年神様にお供えした餅をいただくことで、新しい年の力を分けてもらう意味をもつ料理です。
現在では、「この日まで」と厳密に決めるよりも、三が日から松の内を目安に、家庭のペースで楽しむという考え方が主流といえるでしょう。
お年玉の文化

お年玉は、子どもたちにとってお正月の楽しみのひとつですね。
もともとお年玉は、年神様にお供えしていた丸い餅(年玉)を家長が家族や奉公人に分け与えたことに由来し、「年の魂(年魂)」を分けるという意味合いをもっていました。
現在では餅からお金へと形を変えていますが、新しい一年を前向きに過ごしてほしい、子どもの成長を願い、励ますという気持ちは今も受け継がれています。
渡す時期としては、元日から三が日までがもっとも一般的ですが、家族が集まる日や都合に合わせて松の内のあいだに渡す家庭も少なくありません。
伝統的なお正月遊び
お正月には、日本ならではの遊びも多く親しまれてきました。
- 羽根つき:羽根を打ち返すことで邪気をはねのける意味があるとされる
- かるた:ことわざや百人一首など、言葉に親しみながら楽しめる
- 凧たこ揚げ:高く揚がる凧に、成長や願いを重ねる
- こま回し:世代を超えて楽しめる遊び
- 福笑い:笑いが福を呼ぶとされる遊び
これらの遊びは、特定の日までと決められているわけではありませんが、
三が日から松の内のあいだ、親戚や友人が集まる時期によく楽しまれてきました。
お正月の「いつ?」に関するQ&A

初夢はいつ見る?
初夢とは、新年になって最初に見る夢のことです。時期については主に2つの考え方があります。
- 1月1日から2日にかけて見る夢
- 1月2日から3日にかけて見る夢
江戸時代には1月2日を事始めとして重んじたことから、後者の考え方も広まりました。
いずれにしても、「年が明けて最初に見る夢」に、その年の運勢や願いを重ねる風習といえます。
初詣はいつまで?
初詣には明確な期限はありませんが、目安としては
- 松の内(1月7日または15日まで)に参拝する方が多いです。
混雑を避けて三が日を外すのも問題ありません。大切なのは、昨年への感謝と新しい年への思いを、落ち着いて伝えることです。
日程については、ご自身やご家族の都合に合わせて選んで大丈夫です。
お年玉はいつ渡す?
お年玉は、元日から三が日に渡すのが一般的ですが、家族が集まる日や松の内のあいだに渡しても差し支えありません。
状況や関係性に合わせて、無理のないタイミングを選びましょう。
お正月の地域性・現代の楽しみ方

日本各地には、その土地ならではのお正月行事が残っています。共通するのは、子どもの成長や一年の節目を大切にする気持ちの表れでした。
各地域に固有の正月行事
代表的なものをいくつかご紹介いたします。ユネスコ無形文化遺産に登録されているものもあり、「お正月の地域性」を考えるうえでも興味深いものです。
- 秋田県・男鹿の「なまはげ」
仮面と藁衣をまとったなまはげが家々を訪れ、「悪い子はいねが」と声をかけながら、怠け心を戒める行事。子どもたちにとっては少しドキドキする時間ですが、地域の人々が世代をつないで続けている大切な行事です。 元は小正月の行事、現在は大晦日の夜に来訪。 - 鹿児島県・甑島こしきじまの「トシドン」
大晦日の夜、シュロやソテツをまとった仮面の神さま「トシドン」が、3〜8歳くらいの子どもがいる家を訪問し、子どもの良いところをほめたり、改めたほうがよいところを諭したりします。最後には年餅を渡して去っていく、という独特の来訪神行事です。 - 各地の「どんど焼き」「左義長」
小正月前後に行われる火祭りで、正月飾りや書き初めを焚き上げます。その煙に乗って年神様が天へ戻るとされ、その火で焼いた餅や団子を食べると一年健やかに過ごせると伝えられています。
沖縄の正月祝いは2度ある?
沖縄では、
- 1月1日の現在の暦の正月:他の地域同様に年賀状や初詣などを行う
- 月の満ち欠けを基準にしたかつての暦の日付の正月:漁業や農業の節目として意識されることが多く、集落ごとの行事や親族の集まりが行われることも
この両方を祝う地域があります。特に離島部では後者を重視する傾向があり、「一年に二度お正月が来る」という感覚が今も息づいています。
現代の人気の過ごし方
現代のお正月は、伝統行事に加えて、
- 初売り・福袋:ショッピングモールや百貨店で、新年最初の買い物を楽しむ
- カウントダウンイベント:大晦日から元日にかけて、テーマパークや観光地で年越しを迎える
- 温泉旅行・お正月旅行:いつもとは違う場所で新年を迎え、ゆったり過ごす
- オンライン帰省:直接会えない家族とも、ビデオ通話で新年の挨拶を交わす
- 御朱印巡り:神社やお寺を巡って御朱印をいただきながら、一年の抱負を考える
など、多様な楽しみ方が広がっています。
決まった形にこだわらず、自分たちの暮らしに合ったお正月を選ぶのも、今の時代らしい過ごし方といえるでしょう。
まとめ

お正月は三が日だけで終わる行事ではなく、松の内や小正月、二十日正月など、いくつもの節目を重ねながら日常へ戻っていく期間のある行事です。地域や家庭によって区切り方は異なりますが、それぞれに意味と流れがあります。
この記事のおさらいポイントを、簡単に振り返ってみましょう。
- 「お正月」は1つではなく、三が日の行事のほか松の内や小正月などの区切りを通して、年のはじめを祝う時間として広く捉えられている
- 松の内は、関東では1月7日まで、関西では1月15日までとする地域差がある
- 正月飾りの片づけや鏡開きの時期も、松の内の区切りと深く関わっている
- 正月挨拶やおせち・お雑煮、お年玉などの風習も、「いつ行うか」を知ると理解しやすくなる
- 各地に残る正月行事や、現代ならではの過ごし方からも、お正月の多様さが感じられる
お正月の期間がいつまでなのか、さまざまな考え方がありますが、共通しているのは、年神様をお迎えし、新しい年を無事に迎えられたことへの感謝と喜びです。
1月という特別な期間にしか味わえない行事や風習を、意味を知りながら丁寧に経験することは、日々の暮らしを大切に見つめ直すきっかけにもなるでしょう。
「お正月」に込められた思いに少し心を向けながら、明るい希望を胸に、日々を穏やかに確かに重ねていけたら、素敵ですね。
| 名称 | 期間・日付の目安 | 主な行事・過ごし方 | 主な地域性/補足 |
| 広い意味の「正月」 | 1月1日〜1月31日 | 1月を通して寺社・地域行事が続くことも/年始の行事を「1月の行事」として捉える場合 | 全国(本来の「正月=一年最初の月」という意味合い) |
| 三が日 | 1月1日〜1月3日 | 年始のあいさつ、初詣、家族で祝膳など | 全国(官公庁など仕事休み期間で、最も一般的な「お正月期間」の行事を味わう) |
| 松の内 | 1月1日〜1月7日 または 〜1月15日 | 正月飾り(門松・しめ飾り等)を飾る/年神様をお迎えする期間の目安 | 7日まで:関東中心(+東北・九州など)/15日まで:関西中心(西日本)の傾向 |
| 七日正月 | 1月7日 | 人日の節句(七草がゆ)など | 全国(※「松の内の最終日」と重なる地域が多い) |
| 大正月 | 1月1日〜1月7日頃 | 「大正月/小正月」と対で説明されることがある | 全国:年神様を迎え留まる期間、かつての暦による名残りの名称 |
| 小正月 | 1月15日頃 | 小豆がゆ、餅花・まゆ玉、火祭り(左義長/どんど焼き)など | 全国(とくに15日松の内の地域=関西中心はお正月期間終了の節目に) |
| 二十日正月 | 1月20日 | 「正月の締め(祝い納め)」として片づけ・食べ納めなど、小正月との行事の重なり(火祭り)も | 関西中心(西日本)で「正月納め」として残る地域が多い。鏡開きを1/20にする地域(京都など)も |
| 晦日正月/晦日節 | 1月31日 | 新しく餅をついて神に供える/松の内に年始回りできなかった親類を訪ねるなど | 中部地方などで伝わる行事 |
