1週間とは?7日となった曜日の名前や順番の決め方

今では当たり前のように1週間は7日で、曜日も決められていますが、その始まりとはどのようなものだったのでしょうか?

古代の人々の英知により発明され、長い歴史を経て現代の生活に使用され続けているというのは、不思議な感じもします。

改めて「曜日」や「週」の単位について、成り立ちの通説や由来などを調べてみました。ご覧ください。

1週間とは?7日間の意味

1週間は、日本国語大辞典 によると

日曜日から土曜日までの七日の間。また、ある日から七日間。一週。ひとなぬか。ひとまわり。

とあり、国立天文台の暦Wiki では、「1か月よりも小さな生活単位」として、はじめは必ずしも7日ではなく、各地域によって5~6日や10日などバラバラだったそうです。

1週間が7日なのは古代バビロニア時代から

1週間を7日とする暦の起源は、メソポタミア文明の花開いた古代バビロニア時代、紀元前1900年から1595年頃にさかのぼります。

この地域の人々は、月の満ち欠けサイクルを元にして、1か月を約28日から30日と定めました。さらに、「新月、上弦、満月、下弦」といった月の形が大きく変わるごとに4つの部分に分けることで、約7日ごとを1週とし、新月を基準に7、14、21、28日を休日としていたようです。

また、メソポタミアに近い場所で誕生したユダヤ教の旧約聖書では、神が6日の間に天地を創造して7日目に休んだとの記載があり、区切りとされたとも考えられています。

 

あるいは、「1か月は長すぎるため、より扱いやすい単位に分割した」という説もあります。

曜日の名前と順番

曜日の概念は古代エジプト時代から

古代エジプト時代、紀元前2世紀ごろには、占星術が非常に発達しました。

この時代の人々は、規則的な動きをする夜空の星々から時間や季節を読み取るとともに、太陽や月とともに肉眼で見える5つの星「水星、金星、火星、木星、土星」は不規則な動き方をしていることを発見しました。

その動きから惑う星として、「惑星」と名づけられたといわれています。

また、当時メソポタミアから「週」という概念が伝えられ、この新たな単位の7日間と7つの惑星が結びつけられ、「曜日」が誕生したといわれています。

主に惑星の名が曜日の由来

古代エジプトでは、各天体には神が存在していると考えられていたため、惑星の名に神の名をつけるのは自然なことと考えられていました。

曜日の名前と太陽・月・惑星の名前の一致は、特にラテン語に見られますが、そのほかの言語でも、多くの関連性がみられます。

その後、英語やドイツ語圏では、自分たちの神の名前に変換したため、曜日と惑星が分離したり、安息日に由来するものなど、時代とともに変更が加わりながら、今日の曜日が形成されました。

・Tuesdayの語源はTyr, Tiw(テュール)北欧神話の軍神

・WednesdayはOdin(オーディン)北欧神話の主神

・ThursdayはThor(トール)北欧神話の雷神

・FridayはFrigga, Frigg(フリッガ)北欧神話の女神、オーディンの妻

以下の表で、日本語・ラテン語・英語表記で、各曜日と惑星名の関連を示します。

日本語

曜日名

 

天体名

ラテン語

曜日名

 

天体名

英語

曜日名

 

天体名

ギリシャ語天体名

/神話の神の名

日曜日 太陽 dies Solis Sol Sunday Sun Apollon/太陽神・芸術・芸能の神
月曜日 dies Lunae Luna Monday Moon Artemis/狩猟・貞潔・月の女神
火曜日 火星 dies Martis Mars Tuesday Mars Ares/戦いの神・軍神
水曜日 水星 dies Mercurii Mercurius Wednesday Mercury Hermes/商業の神・旅人の守護神
木曜日 木星 dies Jovis Jove (Iupiter) Thursday Jupiter Zeus/最高神・全能の神
金曜日 金星 dies Veneris Venus Friday Venus Aphrodite/愛、美、豊饒の女神
土曜日 土星 dies Saturni Saturnus Saturday Saturn Kronos/天空の神・農耕の神

曜日の順番説

曜日と太陽・月・惑星はどのように当てはめていったのでしょうか?

現在習う地球と惑星の位置関係は、地球から近い順に「水金土火木・・・」ですので、すなおにその順番であれば、月曜日の次の日が火曜日になるのは不思議に思います。

 

正確なところはわかっていませんが、2世紀ごろローマ帝国時代のルキウス・カッシウス・ディオ・カシウスという歴史家(155年〈または163年か164年〉~229年以降)による2つの説が残されています。

当時は天動説が背景にあり、地球から遠い天体は、土星、木星、火星、太陽、金星、水星、月という順番だと考えられていた時代です。

1)テトラ・コードを天体にあてはめた音楽理論説

古代ギリシャの音楽理論では、四つの音符から成る「テトラ・コード」という概念が中心でした。

これは、四つの音を一つのグループとして捉えるもので、具体的には、古代ギリシャの音階で「ラ」を基点に設定し、これに土星を対応させた場合、木星・火星そして四つ目の音には太陽が当てはめられます。

この配置を基に進めると、曜日の順番は「土、日、月、火、水、木、金」となると言われています。

 

音楽的な構造を宇宙観と融合させたユニークな試みとみなされていますが、古代ギリシャの数学者・哲学者ピタゴラスや、惑星運動の法則を導き出した学者ケプラーもこの発想を持っていたそうです。

2)1時間ごとに各惑星が運命を司るとした占星術説

古代エジプトの占星術では、各天体に神が存在し、時間もまた天体が支配し、時間ごとに人々の運命も左右するとされていました。

この観点から、1日24時間は太陽、月、および5つの惑星によって、地球から遠い順に1時間ずつ支配されるという考えに従って、

1時は土星が支配、2時は木星が支配、3時は火星・・・、24時は火星が支配、このように繰り返していって、24時間を7つの天体で割ると3時間余るため、続く日には次の惑星が3時間ずつ前にずれていきます。

 

その際、1時を支配する天体がその日を支配すると考えると、「土、日、月、火、水、木、金」の並びとなるといわれています。

日本伝来のはじめは平安時代

曜日の概念はインドと中国を経由して日本にも伝来されました。

あらゆる自然現象の説明として5つの要素「木、火、土、金、水」という五行説が広まっており、この理論を基に太陽や月を除く5つの惑星に、5つの要素を対応させた名前がつけられました。

その後エジプトの暦法を取り入れ、曜日ごとに惑星の名を割り当てるシステムが採用されると、仏教経典にも記され、平安時代には遣唐使によって日本に持ち込まれました。

 

弘法大師空海によってもたらされた「宿曜経(すくようきょう)」では、七曜は日・月・五星であると記されており、藤原道長の日記にも7つの曜日について記録されているそうです。

ただし当時は1週間の単位としてではなく、二十七宿とともに日の吉凶を占う目的で用いられていましたが、広く普及することはなくしばらくの間忘れ去られました。

江戸時代になってからは一部の暦で再び使用されるようになり、明治時代に入って政府が正式に曜日を暦に採用し、現代に至ります。

また日曜日が休日になったのも明治9年4月からです。

週の始まり本当は何曜日?

近年のカレンダーや手帳は、1週間が日曜日から始まるもの、月曜日から始まるものがあります。実際は何曜日始まりなのか、決まっているのでしょうか?

実は、正解がみあたりませんでした。いくつもの解釈があったのです。

 

・日曜日が第1日:聖書の天地創造やユダヤ暦を基にする場合、曜日の名前が順番になるものの多くは、日曜日と設定されていることが多いようです。

・月曜日が1日目:週休二日制が定着し土日は週末、仕事始まりの月曜日からスタートするが合理的と考えることも多いようです。またロシア語等スラブ系言語圏や中国語圏でも多くみられたそうです。

・ISO 8601(国際標準化機構) 、JIS X0301 (日本産業規格 )といった工業規格では、月曜日が1で日曜日が7として、月曜日から始まるとされています。

・労働基準法に関する通知によると、「就業規則その他に別段の定めがない限り、日曜日から土曜日までの暦週」として日曜日が始まりとされています。

・広辞苑では「日曜」は「週の第1日」と記されているものの、「週末」は

一週間の末。土曜日、また土曜日から日曜日へかけていう。近年は金曜日を含めてもいう。

とどちらにも日曜日が含まれています。

まとめ

一週間が7日である成り立ちと、曜日の由来や順番を調べてみると、古代の人々の天体観測による科学的な面と、神話に基づく占星的な面が融合された複雑な考え方や数え方によって定められたものだとわかりました。

古代からの発明が現在も受け継がれ実用されていることに、壮大なロマンを感じるとともに、1週間の始まりは日曜日か月曜日かなど、暦法は時代や人の暮らしを反映して変化していく進行形の側面を経験しているともいえるのではないでしょうか。

当たり前のようにスケジュールを立てることの出来る1週間という単位、毎日の曜日を意識してみると、ありがたみが感じられるかもしれませんね。

 

 

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