夜空に広がる帯状の星々「天の川」・・・その幻想的な光景を思い浮かべるのは、「七夕」が多いのではないでしょうか。
とはいえ、天候や周囲の環境などの影響から7月7日当日、見上げた夜空にもなかなか見当たらない、ということも多いかもしれません。
そんな時も、もう見られないの?とガッカリしなくて大丈夫ですよ。
なぜなら、特に見頃となる七夕を中心とした時期以外にも、天の川は一年中見られるからです。
その上で、美しい天の川に出会えるタイミング、条件、観察に適した環境や楽しみ方について、具体的に調べまとめてみました。ステキな星空との出会いをもっと豊かにするヒントをお届けいたします。
天の川とは?魅力と見どころ
「天の川銀河」について
「天の川」とは、私たちの太陽系が属する銀河系「天の川銀河」の一部を、その内側に存在する地球から見たときの光の帯のことを指します。
銀河系とは、無数の星や星間ガス、ちりなどが渦を巻くように集まっている巨大な星の集団で、直径は10万光年以上あり、太陽系もその中の一部にあります。
天の川銀河は、中心部に約2,000億個以上の星々が集まり、細長い楕円に分布した棒状の構造を持つ巨大な円盤型の「棒渦巻銀河ぼううずまきぎんが」で、横から見ると薄い凸レンズのような形をしています。
私たちは銀河の内側にいるため、周囲の星を横から眺めているということになります。
そのため、星が密集してぼんやりと光っている部分が帯状に広がり、空に浮かんでいるように見えるというわけです。
つまり、天の川とは「遠く離れた無数の星の光が重なって帯状に見えるもの」であり、銀河の一部を内側から見た状態なのですね。
何気なく見上げる天の川は、壮大な宇宙の規模や存在を感じられる経験なのだと、改めて感じませんか?
天の川にまつわる神話と伝説
実際の天体観測が行われるようになった17世紀以前、このような「天の川銀河」という概念も存在しないはるか大昔には、天の川は神話や伝説の舞台とされてきました。
簡単ではありますが、以下に代表的なものを挙げておきます。
- 織姫と彦星の物語天の川は、中国発祥の伝説に登場する「織姫と彦星」の舞台とされ、年に一度、七夕の夜に再会を許された恋人たちの物語として、日本でも広く知られています。
- Milky Way(ミルキーウェイ) 天の川は、古代ギリシャ神話の天空の女神ヘラの母乳がこぼれてできた(乳の道)という伝承により名づけられました。 天の川は英語で Milky Wayもしくはgalaxy(銀河)ですが、galaxyの由来もギリシア語の「乳」とされています。
- 神話と星座天の川の周辺には、はくちょう座、わし座、こと座など、伝説と深く関わる星座が多く存在します。それぞれに神話があり、夜空に物語が広がり、調べていくと奥深いものがあります。
さらに世界の先住民族や文化でも、天の川を「魂の通り道」や「神々の川」として崇める伝承が多く、夜空は人類の想像力と信仰をかきたてる舞台であったことがうかがえます。
季節ごとの天の川の見え方に違いが生じる理由
天の川の見え方は、季節によって変化します。
これは、地球が太陽の周囲を公転しているため、季節によって夜空に見える星の位置が変化するためです。
- 夏の夜:銀河の中心方向(いて座方面)が見えるため、最も明るく壮観な姿が見える
- 冬の夜:銀河の外縁方向が見えるため、淡めで繊細に見える
一般的には、夏に美しい天の川に出会えるチャンスが多くなる傾向にあるといえるでしょう。
時期・条件・環境をそろえて美しい天の川に出会おう
時期以外に、以下のような条件や環境をそろえることで、美しい天の川に出会える機会がアップします。
- 光害:街の明かりを避ける
- 月明かり:新月前後の真っ暗な夜
- 天気・空気:晴天で湿度が低く、空気が澄んでいる
- 環境:標高が高い場所や離島など
美しい天の川に出会える時期・条件・環境は?
天の川がきれいに見える時期およびいくつかの条件や環境、探し方について、順番にお伝えしていきますね。
特に美しいシーズンは夏「伝統的七夕」の日ごろ
前章で、夏は銀河の中心方向が見えるため、明るく壮大な天の川の姿に出会える時期であるとお伝えしました。
天の川が明るく見られるシーズンは案外長く、5月後半~10月頃まで、特に6月下旬~8月下旬にかけて、天の川銀河の中心部が日本の夜空に現れ、南の空に最も明るい部分が広がるため、観賞にもっとも適したシーズンといえるでしょう。
さらに「七夕」は、織姫と彦星が天の川を挟んで再会するという伝説とともに、日本独自の伝統的な星祭りです。しかしながら7月7日は梅雨の影響により、七夕当日には見えないことも多いのです。
実際に美しい天の川に出会えるのは、かつての七夕にあたる「伝統的七夕」の日ごろです。
2025年の伝統的七夕は8月29日にあたります。
今年は夏休み終盤と遅めになりますが、梅雨明け後の新月に近い時期となることも多く、天の川の観察には絶好のタイミングといえるのではないでしょうか。
毎年8月1日~7日の「スターウィーク」
8月1~7日の期間は「スター・ウィーク~星空に親しむ週間~」と称し、国立天文台のHPに特設された「天の川全国調査」キャンペーンに、全国から観測報告が寄せられる催しが毎年行われてきました。
今年も開催されることが予測されますので、ご興味を持たれた方はこちらから更新情報をチェックなさってみてください。
また全国各地の天文台や自治体では、夏になると星空観賞会が開催されるところもあり、専門家の解説を聞きながら観測できるため、初心者やお子さんにもおすすめですよ。
広報誌などをチェックなさってくださいね。
月明りを避けた新月前後
満月など月明りが強い時は、夏でも見えにくい場合があります。
このような影響を受けず、夜空が暗くなり星空全体がクリアに見える「新月」前後5日間くらいが、観察に適しているためおすすめです。
新月とは、月が太陽と重なり地球から見えない状態のことで、約30日ごとに訪れます。
ちなみに、2025年6~8月の新月は以下の通りです。
- 6月25日
- 7月24日
- 8月23日
月齢を表示するアプリなどで簡単に調べることができますので、天気と合わせて事前にチェックするとよいでしょう。
天気と空気の状態
観察には、晴天が適しており、さらに、湿度が低く空気中の水蒸気が少ない夜ほど、星がくっきり見えるため、事前にチェックして晴天・低湿度の日を狙いましょう。
その点において、山間部や高原は空気が澄んでいることが多く、観測に適しています。
場所選びにつきましては、次の項でもう少し詳しくお伝えいたします。
肉眼でみられる場所選び
近年、都市部を中心に夜も活動が盛んであったり住宅が密集するなど、周囲が明るく夜空の星や空自体も見えにくく、天の川の淡い光は、なおのことかき消されてしまっているのが現状ではないでしょうか。
外照明や住宅の灯りなど人工的な都市部の光害や、高層建築物を避け、天体が探しやすく空が開けて見える市街地などの場所を選ぶことが重要です。
以下にポイントをまとめました。
- 光害(街明かり)が少ないこと
明かりが少なく視界が開けたところほど、天の川はくっきりと見えます。都市部から離れた山間部や農村地帯、海辺、もしくは自然保護エリアの周辺が最適です。 - 標高が高く、空気が澄んでいること
高原や離島などは空気中の水蒸気やちりが少ないため、星空全体がクリアに見えます。天気が良く、風が強すぎない場所が理想的です。 - 安全でアクセス可能な場所であること
夜間の移動が伴うため、事前に道順や駐車場の有無、トイレなどの設備も確認しておきましょう。慣れていない場所なら、昼間に一度下見しておくと安心です。
より身近な場所で楽しめる観察スポット例
上記のポイントをふまえ、遠出以外の身近な場所で楽しめる場所の例もお伝えいたします。
- 市街地から少し離れた郊外の公園や河川敷
街灯の少ない広めの公園や、開けた河川敷などはおすすめです。夜間の出入りが可能か、安全かを事前に確認しておきましょう。 - 高台や郊外の展望スポット
街の光を背にできる丘や展望台などは、空が広く見渡せて観察に適しています。例:町営の展望広場、住宅地の端にある高台公園など。 - 道の駅や郊外のドライブインの駐車場(夜間も開放されている場所)
意外と星空がよく見えることもあります。車を停めてすぐ観察でき、トイレがある場合も多いため安心です。 - 市や町が推奨している「星空観察スポット」
自治体が「星の見えるスポット」として紹介している場所は、安全性やアクセスの面でも安心できるため、地域の観光案内や市役所のサイトなどで探してみるのもおすすめです。
その他、お近くの天文台のHPをチェックするか、直接問い合わせて教えてもらうのもよいでしょう。
また、環境省主催の「星空観察」として、8月1~7日の「スター・ウィーク期間」に肉眼およびデジタルカメラでの観測をもとにした「星空観察環境評価」などを活用すると、全国の観測に適したエリアを知ることができます(※この調査は冬にも1月20日~2月2日に実施されてきました)。
なお、この調査は冬にも1月20日~2月2日に実施され、年2回報告がアップされています。ご興味を持たれた方は、こちらのページ内にある別添2「夜空の明るさ」が20等級以上であった地点を参照してください。
時間帯や方角の確認
天の川は、季節や時間帯によって見える方角が変わります。
天文アプリや星図を使って、当日観察する場所で見える天の川の位置や方角、時間帯を事前に確認することも重要です。
リアルタイムで星の動きを確認できるアプリを利用すると、当日その場で見つけやすくなります。
時間帯
・観測に適した時間帯は、日没後1時間程度経ち、完全に空が暗くなった頃から深夜あたりとなります。
とくに夏がベストシーズンである理由のひとつとして、天の川が見やすい時間帯であるということがいえるでしょう。
夏は日没が遅いため、20時もしくは21時頃~が最も適した時間帯を迎えます。
高原などでは、深夜になると気温が下がりますし、近場の場合には帰宅時間との兼ね合いもあるため、無理のない時間帯での観察を心がけましょう。
方角と目印になる星座
・夏の夜とくに8月中旬~9月上旬にかけて、天の川の中心部は南の空を中心として東から西へと帯状に伸びていきます。
その後、時間の経過とともに弧を描き、真夜中に近づくほど、天の川は縦方向に伸びて見えるようになります。
この時期には、非常に明るく見える「夏の大三角形」(こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブ)を目印にすると、天の川を見つけやすくなります。これらの星々を結んだ間を流れるように天の川が広がっています。
・空気の澄んだ冬の夜、1~2月の19時以降は、天の川が南東の空に帯状ではなく淡く広がります。
この時期には、「冬の大三角」(オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン)を目印にすると、肉眼では見えにくいもののこれらの星間に天の川が広がります。
アプリやツールの活用方法
天気・時刻・方角・目印になる星座などは、事前に調べておく以外に当日天の川を観察する場所で、アプリや星座早見表を使用すると便利ですので、いくつかご紹介いたします。
天の川の方角を知るのに役立つ無料アプリ
主なアプリをお伝えいたします。事前に使用し比較するなどして、慣れておくとよいでしょう。
- Star Walk 2 Plus
スマホを空にかざすだけで、現在の空にある星座や天の川の位置がわかるアプリ。 ARモード(現実世界にデジタル情報を重ねて表示)による夜空のシミュレーション機能もあり、わかりやすい。 - Sky Map(スカイマップ/Google Sky Map)※Android向け
無料で使えるシンプルな天文アプリ。GPS連動で天の川の位置や星座の位置をリアルタイムで確認できる。 - 星座早見AR ※iPhone向け スマホを空にかざすことで、その方位にある星座の名前や位置を調べられるARモード搭載のアプリ。さらに観測日時を自由に設定できるため事前準備もしやすい。
- Stellarium Mobile – スターマップ 空にかざした時に見えるものを星などを、正確にリアルタイムで識別し表示してくれるアプリ。夜のみならず、昼間や室内でも使用可能。
- 星座早見 星座早見盤のアプリバージョンで、名古屋市科学館製作。起動時には現在時刻の空が表示され、他の時刻も指先で盤を回転させてチェック可能。当日の夜の惑星の位置も表示される。
星座早見表
「星座早見表」はアナログで使いやすく、WiFiの届きにくい山間部などや、学校で習った後などはお子さんとの星空観察にもぴったりです。
購入できる場所は主に以下のとおりです:
- 書店(天文・自然科学コーナー)
小中学生向けの学習コーナーにもよく置かれています。 - 文房具店・雑貨店の科学教材コーナー
教育用アイテムとして販売されていることがあります。 - プラネタリウムや科学館の売店
実物を手に取って選びたい場合におすすめです。 - オンラインショップ(Amazon・楽天・Yahoo!など)
キーワード「星座早見表」で検索すれば、紙製・プラスチック製・蓄光素材のものなど、種類も豊富に見つかります。
星空観察に必要な準備
事前準備
観察日時・場所の決定と天気予報の確認
前章の項目を参考に、新月の前後5日間あたりの夏8月下旬などの20時頃で、周囲が開けていて空が十分暗くなる場所、泊りか近場かなど具体的に決めていき、週間予報などで早めに天気も確認しておきましょう。
都度天気予報をチェックし、悪天候の場合には日程や場所を変更することも必要です。
天の川の位置:当日の空で見える方角の確認
観察前に、天文アプリや星図を使って、当日の天の川の位置や方角を確認しましょう。リアルタイムで星の動きを確認できるアプリが便利です。
双眼鏡やカメラ・三脚
肉眼だけでも楽しめますが、双眼鏡があれば天の川の広い範囲をよりはっきり美しく見ることができます。また、写真に収めるなら一眼レフカメラ、もう少し気軽ならスマホのカメラにも三脚が必要です。手ブレを防ぎ、長時間露光で星の光をとらえるための必須アイテムです。
当日すぐに使用できるよう、事前確認や調整を済ませておきましょう。
観察当日にあると便利な持ち物・服装リスト
天の川観察は夜間のアウトドア活動ですので、快適で無事に過ごせるよう、以下の準備をしておくとよいでしょう。
持ち物チェックリスト
- 懐中電灯・ヘッドライト(赤色モード付きが理想)
手元を照らすために必須ですが、周囲の暗さを保つために赤色光が出せるものを選びましょう。白色光は目がくらみやすく、観察に支障が出ることがあります。 - 折りたたみ椅子やレジャーシート
長時間空を見上げるので、身体への負担を減らすために椅子や敷物があると便利です。 - 防寒着・ブランケット
夏でも標高の高い場所や夜間は冷え込むことがあります。ウィンドブレーカーやフリース、膝掛けなどもおすすめです。 - 虫よけスプレー・かゆみ止め
自然の中では蚊や虫が多いため、事前の対策が快適さを左右します。 - 飲み物・軽食
水分補給や空腹対策に。保温ボトルに温かい飲み物を入れておくと、体も温まり安心です。 - モバイルバッテリー
天文アプリを使用するスマホやカメラなどの充電切れに備えて持っておきましょう。 - 雨具(折りたたみ傘・レインコート)
山間部では急な天候の変化もあるため、雨具は必ず携帯しましょう。 - ゴミ袋やウェットティッシュ
自然環境を守るため、出たゴミはすべて持ち帰るようにしましょう。ウェットティッシュは手を拭くなど多用途に便利です。
服装のポイント
- 重ね着できる服装を選ぶ
昼間と夜間で気温差があるため、脱ぎ着しやすい重ね着スタイルがおすすめです。特に長袖長ズボンは、虫除けや防寒にも効果的です。 - 足元はスニーカーや登山靴
足場が悪い場所もあるため、サンダルやヒールは避け、滑りにくく歩きやすい靴を選びましょう。
天の川撮影のコツとポイント
最近のスマートフォンやデジタルカメラは性能が向上しており、簡単に夜空の撮影ができるようになりました。
より美しく天の川を写真に収めたいという場合には、一眼レフカメラやミラーレスカメラが最適といえるでしょう。
肉眼での観察とカメラ撮影の違い
天の川は、空が暗く澄んでいれば肉眼でも見ることができますが、うっすらとした雲のように見える程度でという場合も多々あります。これは、人間の目が暗い場所での色や細部を捉えるのが苦手なためです。
一方、カメラを使えば、センサーが長時間光を取り込み、肉眼では見えにくい星の光まで写すことができます。これを「長時間露光」と呼びます。この長時間露光を使うことで、星の色合いや天の川の構造、美しいグラデーションまでもが写真に収められます。
つまり、カメラを通して初めて天の川の本当の姿に出会えるという楽しみがあるといえるのではないでしょうか。
三脚やレンズの選び方
天の川をきれいに撮影するためには、機材選びも重要です。
まず、レンズは広角で明るいものが適しています。具体的には、焦点距離が14〜24mmの広角レンズで、F値(絞り値)がf/2.8以下のものがおすすめです(F値が小さいほど多くの光を取り込めるため、暗い夜空でも鮮明な写真が撮れます)。
また、カメラをしっかりと固定するための三脚も必須となります。三脚は風に揺れない安定感のあるものを選びましょう。特にアルミ製やカーボン製のしっかりとしたタイプが望ましく、脚のロック機構がしっかりしているか、地面にしっかり接地できるかも確認するとよいでしょう。
星空の明るさとシャッタースピードの関係
夜空の撮影では、ISO感度とシャッター速度、絞り値のバランスが大切です。
ISO感度は1600〜3200を目安に設定すると、暗い星もきれいに写ります。ただし、ISO感度を高くしすぎるとノイズが目立つため、カメラの性能に応じて調整しましょう。
シャッター速度は15〜30秒程度が一般的です。長すぎると地球の自転の影響で星が線のように写ってしまう「星の軌跡」ができてしまうため、そのような状況を避けたい場合は「500ルール」と呼ばれる計算方法を用いるとうまくいきます。
これは、500を使用するレンズの焦点距離で割った秒数が、星が流れずに撮影できるシャッター速度の目安になるというものです。
ピント合わせの手法
星空撮影ではピント合わせも重要になります。
オートフォーカスは暗い場所では正確に作動しないことがあるため、マニュアルフォーカスを使用します。基本的には、ピントリングを「無限遠(∞)」の位置に合わせますが、レンズによっては少しずれることもあります。
正確なピントを得るには、ライブビュー機能で画面を拡大し、明るい星を画面中央に合わせて手動でピントを微調整しましょう。
ピントが合うと星が最も小さくシャープに見えるようになるので、事前に日中などで練習しておくのもおすすめですよ。
保存とヒストグラムの確認方法
撮影後は必ず画像のヒストグラムを確認しましょう。
ヒストグラムとは、画像の明るさ(露出)の分布を示すグラフで、これを見ることで適切な露出が得られているかを判断できます。山の形がグラフの左(暗い)または右(明るい)に偏りすぎている場合は、細部が失われているかもしれません。
星空の場合、暗部に偏りすぎないように、適度な明るさを保つことが大切です。露出が適切であれば、後で画像を編集・補正する際にも情報が残っており、より美しい仕上がりが期待できます。
スマホで天の川を撮影するにはナイトモード
近年のスマートフォンはカメラ機能が進化しており、設定や工夫次第で天の川を撮影することも可能です。
最近のスマートフォンには「ナイトモード(夜景モード)」や「長時間露光モード」と呼ばれる機能が搭載されており、天の川のような暗い被写体も撮影できるようになってきました。
ナイトモードは、撮影時に自動的に複数の写真を連続で撮影し、それらを合成して明るく美しい夜景を再現する仕組みです。星空の微細な光も拾いやすく、肉眼では見えにくい天の川の帯も、うまく撮影すれば浮かび上がらせることができます。
ただし、ナイトモードを使ってもスマホの手ブレや光害(街明かり)の影響を受けやすいため、以下のような工夫で補うとよいでしょう。
- スマホ用三脚やスタンドを使う:手持ちではわずかなブレでも星が流れてしまいます。しっかりと固定しましょう。
- タイマー機能を使う:撮影ボタンを押す際の揺れを防ぐため、2〜3秒のセルフタイマーを設定するとブレが軽減されます。
- ナイトモードをONにする:カメラアプリの設定でナイトモードを手動で有効にし、光量が十分に取り込まれるようにします。
- 街明かりの少ない場所を選ぶ:スマホは一眼カメラに比べて暗所に弱いため、郊外や山間部などの暗い場所での撮影が理想です。
- 焦点を明るい星に合わせる:ピント合わせが難しい場合は、画面をタップして明るい星にピントを固定しましょう。
また、夜空や夜景撮影のためのアプリも存在していますので、そちらを使用するというのも一案です。
撮影後は、スマホの画像編集アプリでコントラストや明るさを調整することで、天の川の存在感をより引き出すことも可能になります。
まとめ
「天の川」とは、私たちの太陽系が属する銀河系「天の川銀河」の一部を、その内側に存在する地球から見たときの光の帯です。
天の川は、七夕の夜に注目されやすいですが、一年中見ることは可能です。
しかしながら、地球が太陽の周囲を公転しているため、季節によって夜空に見える星の位置も変化し、夏の方が星々が多く集まっている天の川の中心方向を見やすくなります。
6月下旬~9月上旬のなかでも、特にベストシーズンは8月下旬の伝説的七夕の日あたりの新月前後5日間で、20~23時台の南の空に現れた天の川がおすすめです。
その他、晴天で湿度が低く、空気が澄んでいる日に、街の明かりを避け、標高が高い場所など周囲が開けて暗い空がよく見える場所など、条件や環境をそろえ、アプリ等による方角や目印にしやすい星座の確認、撮影機材を含め持ち物など事前準備をして観察しましょう。
観察をより楽しむためには、静かな環境を大切にし、懐中電灯には赤いフィルターを使うなど、他の観測者へのマナーを心がけることも大切です。
また、観察後は撮影した写真やメモを見返し、次回の観測に活かすなど、毎年の記録を残すことで、天の川との出会いが深まり、星空観察がより身近になり趣味になるのもステキなことですね。
あなたも今年の美しい天の川に、会いたいと思いませんか?