「赤富士」と「紅富士」、どちらも赤い富士山に思えますが、実は別の現象・景色でした。
北斎の有名な赤富士のタイトルは『凱風快晴』と見たら、急に確かめたくなりませんか?
両者の特徴・見られる時期・条件の違い、観察スポットや撮影のコツ、2026年の美術展情報まで、富士山の希少な瞬間に出会う道筋をまとめてご案内しております。
赤富士と紅富士の違い

赤富士・紅富士とは?
赤富士(あかふじ)と紅富士(べにふじ)は、どちらも富士山が日光で赤みを帯びて見える状態を指します。ただし雪の有無により、赤く見える素材が違うのがポイントです。
- 赤富士:雪のない時期(7〜10月頃)、地肌(山肌)が赤褐色に染まって見える
- 紅富士:雪のある時期(11〜4月頃)、雪面(白い斜面)が淡い紅色に染まって見える
赤富士・紅富士の違い一覧表
はじめに両者の違いについて、把握しておきましょう。
| 項目 | 赤富士(あかふじ) | 紅富士(べにふじ) |
| 見た目の色 | 赤褐色〜朱寄り。山肌の質感が目立つ | ピンク寄りの淡い紅色。雪の白さとの対比が美しい |
| 雪の有無 | なし(地肌が出ている) | あり(雪化粧が前提) |
| 見られやすい時期 | 夏〜初秋(7〜10月頃)が目安 | 冬〜初春(11~4月頃)が目安 |
| ねらい目の時間帯 | 日の出前後の短時間(夕方の条件もあり) | 朝日・夕日どちらもチャンスがある |
| 重要な気象条件 | 透明感のある空、雲が少ない、風が弱いなど | 透明感のある空、雲が少ない、雪の状態が良い |
| 仕組みの要点 | 低い太陽光で赤い光が強調され、地肌が赤く見える | 雪面が赤い光を反射し、淡い紅色に見える |
| 写真の見え方 | 力強い赤色・岩肌の陰影が主役 | 雪の白と紅色の淡さが主役 |
赤富士について

赤富士は、雪のない富士山が朝日に照らされ、山肌が赤く染まって見える現象です。
見られる時期は地域や年によって差がありますが、山頂の雪がほぼ消える7月頃から初冠雪前の10月頃頃まで、山頂の雪が減り地肌が広く出る季節が目安になります。
色の特徴(山肌に差す赤色)
赤富士の魅力は、赤一色ではなく、山肌の凹凸や木目のような陰影が立ち上がること。写真でも、赤みの濃淡やグラデーションが出やすいので、肉眼よりドラマチックに見えることもあります。
見られる時期・時間帯・気象条件
- 時期:夏〜初秋が目安(雪が少ない年ほど期間が長め)
- 時間帯:日の出前後が本命。色づきは短く、数分〜十数分で印象が変わります
- 条件:雲が少なく、空が澄んでいる、風が弱いなど
現象が生じる仕組み
太陽が低い角度にあるとき、光は大気を長く通ります。その途中で青い光が散りやすく、赤い光が残りやすくなるため、山肌に“赤の成分”が強く当たり、赤く見えやすくなります。
赤富士は北斎の『凱風快晴』でも知られています。
紅富士について

紅富士は、雪化粧した富士山が、朝日や夕日の光で淡い紅色に染まって見える現象です。
見られる時期は、富士山が冠雪している11月頃〜4月頃が目安となります。
赤富士よりも淡い色になりやすく、やさしい雰囲気の写真になりやすいのが特徴です。
色の特徴(雪に映ったピンク寄りの淡い紅色)
雪の白い斜面が光を受けることで、淡いピンク〜紅色に見えます。雪の質(新雪か、風で締まった雪か、解けかけか)でも色の出方が変わります。
見られる時期・時間帯・気象条件
- 時期:冬〜初春が目安
- 時間帯:朝日・夕日どちらにもチャンス。特に朝は空気が落ち着きやすい傾向
- 条件:雲が少ない、空が澄んでいる、雪がしっかり残っている
現象が生じる仕組み(残雪の役割)
紅富士は、雪面が「スクリーンの役割」になります。低い太陽光(赤みの強い光)が雪に反射し、白い斜面が淡く色づいて見える、というイメージでつかむと分かりやすいです。
赤富士と紅富士はなぜ別物?
日本人の色彩感覚で「赤」と「紅」は別の色
「赤」は基本色として広く使われる一方で、「紅」は伝来のベニバナ色素に由来する色名として、少し特別な赤を指す言葉です。たとえば「紅白」のように、祝いの場面で用いられることも多く、日常語の「赤」よりも、どこか「深みや品のある赤」を思い浮かべやすいところがあります。
ただし紅富士の場合は、言葉の印象とは逆に、実際の見え方がピンク寄りの淡い紅色になりやすいのが特徴です。これは、雪の白さが光をやわらかく受け止め、赤い成分が強くべったりではなく、ふんわりと広がるように映るため。
同じ赤い富士でも、赤富士は山肌の力強い赤褐色、紅富士は雪面の繊細な紅——というふうに、色の質感まで含めて受け取られ方が変わってくる、ということなのです。
赤富士は夏の季語
俳句の世界では、赤富士が晩夏の季語として扱われます。季節の言葉としての赤富士は、「夏の朝の、短い光景」というイメージと相性が良いのですね。
赤富士・紅富士の色味の違いと発生メカニズム
見える日の共通点として押さえると、計画が立てやすくなります。
- 朝日と夕日:太陽が低いほど赤い成分が目立ちやすい(特に日の出直後は色が移ろいやすく、同じ場所でも数分で印象が変わります)
- 大気の透明度:霞が少ないほど、輪郭と色が出やすい(黄砂や靄が出る日は、色が淡く見えることがあります)
- 湿度・前日の天候:雨の翌日は空がすっきり感じられることがある(ただし低い雲や霧が残る日もあるので、空の“高さ”も見ておくと判断しやすいです)
- 風:湖面の逆さ富士を狙うなら、風が弱い朝が有利(早朝は落ち着きやすい一方、日が高くなると波が立ちやすい傾向があります)
- 雲:日の出方向に雲が少ないと、色づく瞬間が見えやすい(雲が薄く広がる日もあるので、雲の量だけでなく位置や高さもチェック)
- 気温差・放射冷却:夜間に冷え込むと空気が澄んで感じられる日もあり、冬の紅富士では色が出やすい条件のひとつに
- 残雪:紅富士は雪の状態が主役。積雪量や雪質で色の印象が変わるたとえば新雪がふんわり残っている日は淡いピンクが出やすく、風で締まった雪や凍った雪は光を強く返して白さが勝つことも
さらに、雪解けが進んで地肌がのぞくと、紅色と暗い岩肌のコントラストが強くなり、同じ時間帯でも表情が変わる
どちらも縁起物とされる希少性
赤富士も紅富士も、毎日見られる現象ではありません。雪の有無、雲の量、空の透明感、風の強さ、日の出・日の入りのタイミングなど、いくつもの条件が重なったときにだけ、それらしく現れます。
しかも色づく時間は数分~十数分程度と短く、同じ場所にいても数分で印象が変わることがあるため、出会えたときの特別感がいっそう際立ちます。
だからこそ、昔から「見られたらうれしい景色」「記念に残したい景色」として語られ、縁起物として親しまれてきた面があります。
実際に現地で眺めるのはもちろん、写真や絵画、版画などの形で飾られたり贈られたりするのも、こうした希少性が背景にあるといえるのでしょう。
見やすい場所と人気の観察スポット

富士山がよく見える場所でも、赤富士・紅富士は「季節×時間帯×天候」の掛け算で見られる可能性が高まります。
また、早朝に落ち着いて待てる環境(駐車場、歩きやすさ、視界の開け方)を重視して候補を絞るのがおすすめですよ。
どこから見やすい?(関東・静岡・山梨)
- 関東:東京や神奈川(箱根など)からも、冬の澄んだ日に富士山が見えることがあります。特に、寒気が入った後や雨上がりで空がすっきりした日は輪郭が出やすく、都心の高い場所や西向きに視界が開けた地点では、「遠望の富士」に出会えることも。とはいえ距離があるぶん霞の影響も受けやすいので、「見えたらうれしい」くらいの気持ちで、天気図と見通しの良さをセットで見るのがコツです。
- 静岡:南側・西側の裾野や高原、湖(田貫湖など)で、「広々とした富士」を狙いやすいエリアです。駿河湾側の開けた場所では空と富士山のスケール感が出やすく、朝は山の陰影がくっきりしやすいのも魅力。赤富士・紅富士どちらも、日の出方向に雲が少ない日を選ぶと、色づく瞬間を捉えやすくなります。
- 山梨:北麓(富士五湖周辺)は撮影スポットが多く、朝の光景と相性が良いのが強みです。湖越しに富士山を正面気味に捉えられる地点が多く、風が弱い日は逆さ富士も狙えます。季節によっては赤富士(地肌の赤)と紅富士(雪面の淡い紅)の両方が話題になりやすく、冠雪状況と日の出時刻を合わせてチェックしておくと計画が立てやすいでしょう。
湖面が静かなら「逆さ赤富士」も
風が弱い朝は、湖面が鏡のようになりやすく、条件が合えば逆さ富士が狙えます。
赤富士・紅富士に「逆さ」が重なると、満足度もさらに一段上がりる気がしませんか?
視点と標高の違い:海岸線・展望台・登山道からの見え方
- 海岸線:空と富士のスケール感が出やすい(水平線や波の表情が入ると山の広がる感じが強調されます)
- 展望台:視界が開け、構図が作りやすい(前景を入れやすく、富士山の位置も調整しやすいのが利点)
- 登山道・高所:雲海や稜線が絡むことがあり、表情が増える(ただし早朝は冷え込みやすいので、装備・時間・ルートの準備は念入りに)
静岡・山梨の人気観察スポット
数ある人気スポットの中から、いくつかおすすめをピックアップしました。検索してみると、たくさんヒットしますので、ひとつひとつチェックしてみるのも楽しいですよ。
静岡県エリア
- 富士山夢の大橋(富士市):階段が富士山へ続くように見える構図が人気、人が多い時間帯は譲り合いが大切です
- 田貫湖(富士宮市):逆さ富士などの定番。朝の無風を狙うと映り込みがきれい
- 朝霧高原周辺:広い空と富士山の組み合わせが映えやすい(霧が出る日もあるので変化も楽しめます)
山梨県エリア
- 山中湖:富士山に最も近く、湖越しの富士が撮りやすい。朝の赤富士・紅富士とも相性が良い
- 河口湖:ポイントが多く、湖と街並み、前景の入れ方で表情が変わる
- 本栖湖:千円札の裏側の富士山で知られる。条件が合えば湖面の映り込みも美しい
- 新倉山浅間公園(忠霊塔):富士山と五重塔の日本らしい一枚が狙えるスポット。階段が多いので歩きやすい靴が便利です
ライブカメラ・現地情報で「見える」確率を高める
赤富士・紅富士は、行ってみないと分からない要素が大きい分、事前の情報収集が役立ちます。
当日の予報だけでなく、日の出前後に雲がどう動くか、風が弱まる時間帯はいつかまで把握しておくと、現地で「どこで」「どれくらい待つか」を決めやすくなります。
- 富士山周辺のライブカメラ(自治体・観光協会・気象サービス)
- 雲量、風速、湿度、気温の見通し(特に早朝の時間帯に絞って確認)
- 雲の位置と高さの目安(衛星画像・雨雲レーダーで“日の出方向”をチェック)
- 日の出時刻と太陽の方位(いつ光が入り始めるかの目安になります)
- 富士山の冠雪状況(紅富士の見込み)
ポイントは「今日の天気」だけでなく、日の出前後に雲が残るか、風が強まるタイミングはいつかまで見ることです。
具体的なライブカメラ・現地情報先とURL一覧
■富士の国やまなし:今見える富士山ライブカメラ(山梨側7か所)
■富士五湖.TV:富士山ライブカメラ(五合目など含めまとめてチェック)
複数地点を見比べるのもおすすめです。
写真撮影のコツと準備
赤富士・紅富士は色づく時間が短いぶん、現地では「迷わず撮れる準備」がいちばんの味方になります。
こちらでは、持ち物の基本から、朝夕の光に合わせた設定の考え方まで、失敗しにくいポイントをまとめました。
機材などの準備
- 三脚:早朝の薄暗い時間にブレを抑えやすい(風がある日は脚を低めにして安定させると扱いやすいです)
- レンズ:標準〜望遠があると便利(富士山だけを切り取る/湖や町を入れる両方に対応)
- レンズフード:斜めの光が入りやすい時間帯に、不要なフレアを減らしやすい
- 記録形式:後で色を整えたいならRAWも候補(JPEG派でも、露出だけは丁寧に)
- 予備:バッテリーとメモリーは余裕を持って(寒い朝は消耗が早く感じることがあります)
- 小物:レンズクロス/足元を照らすライト/手袋などがあると、現地での動きがスムーズです
時間帯別撮影テクとおすすめ設定
- 早朝:暗いのでシャッター速度が落ちがち。三脚+セルフタイマー(またはレリーズ)で安定。ISOは上げすぎず、まずはブレない撮り方を優先します
- 日の出直後:明暗差が大きいので、露出補正や段階露出(ブラケット)が便利。富士山の山肌を主役にするなら、山肌が白飛びしない露出を基準にするとまとまりやすいです
- 夕焼け:雲が色づく日は空が主役。富士山をシルエット気味にしても映えます。空の階調を残したいときは、空に露出を合わせて富士山を黒く落とすのも一つの手です
- 迷ったときの型:絞りはf8前後、測光は評価測光、ピントは富士山の稜線付近(前景を入れるときは少し手前)を目安にすると組み立てやすいです
※ホワイトバランスは「太陽光」「晴天」などを基準に、後で微調整できるようにしておくと迷いにくくなります。色が短時間で変わる朝夕は、WBを固定しておくと連続カットの比較がしやすくなります。
構図と背景・前景の工夫
- 湖・木立・建物などの「前景」を少し入れると、スケール感が出やすい(前景を暗めにして主役を引き立てるのもおすすめ)
- 逆さ富士は、湖面の「余白」を意識すると、整いやすい(上下の比率を少し変えるだけで印象が締まります)
- 北斎の『凱風快晴』風に「富士山を大きく、空を広く」とるのも一案(雲の形がきれいな日は特に相性が良いです)
- シンプル構図のコツ:水平線(湖畔・海岸)をきちんと水平にすると、写真全体がぐっと整います
事前に確認すべき項目
- 当日・前日の天気(雨の有無、雲量の動き)
- 風向きと風速(湖面の波、体感の冷え)
- 日の出方向と時刻(現地到着の目安を逆算)
- 残雪の有無と程度(紅富士の見込み)
- 現地の駐車場・トイレ・立ち入りルール(開閉時間、混みやすい時間帯も含めて)
- 撮影場所の足元:暗い時間に移動する場合は、歩きやすい靴と動線の下見があると当日迷いにくいですよ
赤富士と葛飾北斎との関係

葛飾北斎の浮世絵作品『富嶽三十六景』について
『冨嶽三十六景』は、江戸後期の天保2〜5年(1831〜1834年)ごろにかけて、版元・西村屋与八(永寿堂)から版行された富士山シリーズです。
北斎が70歳を過ぎて手掛けた風景版画の作品は一度にまとめて出されたのではなく、数年の間に制作・刊行が進み、好評により追加図を含めて全46図として知られています。
富士山を主役にしつつ、海辺・街道・田畑・職人の仕事場など、人々の暮らしの場面を切り取りながら、同じ山の「表情の違い」を見せてくれるのが魅力となっています。
季節や天候だけでなく、見る位置や距離感の変化も大胆で、遠景の富士を小さく置いたり、前景の人物や道具を大きく入れて奥行きを強調したりと、構図の工夫が随所にみられます。
その結果、富士山が「ただの名所」ではなく、生活の時間の中にある存在として感じられ、富士山を見る楽しみ方そのものを広げたといわれています。
また、富士山は、古くから特別な山として意識され、暮らしや表現の中でも象徴的に扱われてきました。
北斎が富士を繰り返し描いた背景には、富士山が「誰もが意味を重ねやすい題材」であったことも関係していると考えられるのではないでしょうか。
赤富士「凱風快晴(がいふうかいせい)」の色表現と意味・季節感
『凱風快晴(がいふうかいせい)』(通称:赤富士)は、天保元〜天保3年(1830〜1832年)ごろの作といわれています。
「凱風」とは、夏に吹くおだやかな南風を指す言葉です。
晴れた空気感を含んだタイトル通り、富士山の山肌を赤く大きく描いて、空に浮かぶ雲のリズム、画面下の樹海の深い色、広く取られた空の余白、そして頂に残る雪の白が、赤い富士山の印象をいっそう際立たせているようですね。
また、版画ならではの表現(木目を活かした面の変化、ぼかしの繊細さ)も大きな見どころです。
とくに空のグラデーションや、赤の面の濃淡は「朝の光が動く感じ」を想像させ、写真のような再現とは別の形で時間を描いているようにも見えるのではないでしょうか。
いつもは青い富士山も、この一枚を通すと「赤い瞬間」が記憶に残りやすくなる——それが赤富士を有名にした理由の一つといえるでしょう。
凱風快晴の実景はどこ?
「どこから見た富士山なのか」は、諸説あり特定されていないといわれています。
だからこそ、実景を探すよりも、北斎が富士山の赤い瞬間をどう作品化したかに注目すると、鑑賞が深まります。
今日の赤富士イメージに与えた影響
赤富士は古くから題材にされてきましたが、『凱風快晴』は「赤富士」としての認知を広げた存在です。作品の強い印象によって、「赤い富士=特別な瞬間」というイメージが共有されやすくなり、赤富士という言葉自体が分かりやすい象徴として定着していきました。
- 赤い富士=特別な景色、というイメージが広まった(実際に見たことがなくても、絵の記憶から情景を思い浮かべやすくなった)
- 年の節目の飾りや贈り物に、赤富士モチーフが選ばれやすくなった(年賀状やお祝いの場面で「明るい始まり」を連想させる図柄として扱われることもあります)
- 写真・絵画・色紙・掛け軸・小物など、表現の幅が広がった(飾るサイズやテイストが増え、暮らしの中に取り入れやすくなりました)
- 富士山を描くときの“基準”の一つになった(赤い面の見せ方や空の抜け感など、後の作品や写真表現にも影響を残したと言えるでしょう)
黒富士「山下白雨(さんかはくう)」との表現の違い

『山下白雨(さんかはくう)』も、同じく『冨嶽三十六景』の作品のひとつです。
「白雨」とは、夏の季語で夏の激しい夕立やにわか雨を指す言葉です。
雨を描かずに山麓に迫る雨雲とオレンジ色の稲妻で、夏のにわか雨(白雨)を想像させる一枚として、こちらも有名です。
『凱風快晴』が夏の静かな晴れのもとの富士山なら、『山下白雨』は夏の動きのある天候のもとの富士山・・・同じ富士山でも、空の表情ひとつで物語も変わるところが、興味深いですね。
美術館で見る赤富士:所蔵・2026年展覧会情報

「凱風快晴」の主な所蔵先情報
同じ題名でも、版(摺り)の違いがあるため、所蔵先はいくつかあります。
また、所蔵と常設展示とは異なりますので、展示が見られる日程などは、各館の最新情報をご確認ください。
所蔵の有無を確認するには、美術館トップページ内の「コレクション」などから検索なさってくださいね。
今年(2026年)赤富士・富士山を鑑賞できる美術展案内
赤富士を含めて、富士山をテーマにした展覧会は、毎年全国で企画されやすいジャンルです。大きな美術館だけでなく、ギャラリーの企画展でも出会えることがありますよ。
- 半蔵門ミュージアム:特集展示「富士山 花と雲と湖と」(2026/1/17〜5/10)
横山大観・田崎廣助・片岡球子、版画家の笹島喜平、日本画家の川﨑春彦・岡信孝・木村圭吾・平松礼二、洋画家の野田好子・櫻井孝美10名15作品を展示予定 - 国立西洋美術館:「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」(2026/3/28〜6/14)
本シリーズ全46図を一挙に公開する企画展示、出品予定作品ページ - すみだ北斎美術館:開館10周年記念「北斎 広重 ふたりの富士、それぞれの富士」(2026/6/23〜8/30)
※会期や休館日は変更になることがあります。お出かけ前に公式発表をご確認ください。
文学・映画・ポップカルチャーにも
赤富士・富士山は、年賀状やポスター、写真集、旅番組など、さまざまな形で登場します。
たとえば文学では、太宰治の『富嶽百景』のように、富士山を憧れや距離感ごと描く作品もあり、読むだけで景色の温度が変わります。
またアニメでは、富士山の見える土地(山梨・静岡)を舞台にした作品(ゆるキャン)が観光企画としても紹介され、現地の風景と物語がゆるやかに重なります。
現地に行けない年も、版画・日本画・写真・映像で「富士の表情」に触れることで、季節の楽しみも増えるのではないでしょうか。
まとめ

赤富士と紅富士は、どちらも富士山が赤みを帯びて見える現象ですが、雪の有無や季節、色の出方が異なります。ポイントを押さえると、現地観察も美術館鑑賞も、ぐっと面白くなりますよ。
- 赤富士:雪なしの山肌が赤く見える(夏〜初秋/7~10月頃の早朝が目安)
- 紅富士:雪面が淡い紅色に見える(冬〜初春/11~4月頃の朝夕が目安)
- 狙い方のコツ:雲量・風・空の澄み具合、残雪の状態をセットで見る
- 観察スポット:静岡(田貫湖、富士山夢の大橋など)/山梨(山中湖、河口湖、本栖湖、新倉山浅間公園など)
- 北斎『凱風快晴』:赤富士イメージを広げた代表作。『山下白雨』との対比も面白い
- 2026年の美術展:富士山テーマや北斎関連の企画が予定されている
富士山を眺めていると、日常の視点が少し上がるような、空気がふっと切り替わるような気がすることはありませんか?
自宅近くの富士見の場所から見上げるのも、現地に出かけるのも、作品で味わうのも、どれも「富士山との時間」の楽しみ方といえるのではないでしょうか。
季節に合わせて、心に残る富士に出会えますように。
