「1日」が24時間となった設定や認識の変遷とは?時間表記方法も

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暦・時

1日とは、私たちが毎日太陽の動きととも暮らすパターンとして、最も身近な単位といえるのではないでしょうか。

とはいえ、「1日」という単位について掘り下げてみると、様々な設定に基づいていることがわかりました。

地球の自転公転との関係において、季節の影響を受けず、通年1日が同じ時刻であるための設定、12時間表示の時計における午前・午後表記の仕方、1日が24時間と認識されるまでの変遷など、調べてみると興味深いことばかりでした。ご覧ください。

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「1日」とは

調べた結果を一言で表すと、

1日とは、

太陽が真南に位置する南中時刻から次の南中時刻までの時間を「1太陽日」と呼び、地球が自転しながら楕円軌道で太陽の周りを公転していることにより生じる、年間の時間増減を平均した「平均太陽日」によって定義された、24時間のこと

を言います。情報が多いので、詳しく説明していきます。

太陽が真南の南中~南中の時間

「日」は太陽のことで、1日とは地球から見た太陽の動きの1サイクルということになります。地球上の生物が生活する基本的なサイクルとしてなじみ深いものです。

古代の人々は、太陽が最も高い位置に達し真南に来る瞬間を「南中(なんちゅう)」とし、この時を一日の中心として「正午」と定めました。

そして、次の日に太陽が同じく南中に到達した時までを、1日と計測しました。

 

太陽の「南中~(次の日の)南中」の動きを直接計測して定めた時刻を、「視太陽日(したいようび)」「視太陽時(したいようじ)と呼びます。

 

この方法で、日中に日付が変わると日常生活が不便になるため、太陽の南中時を昼の12時とし、そこから12時間を加えた時点を1日のスタートと定めました。

ところが、、、

南中時刻は変化する

地球の自転は24時間で360°、1時間で15°回転ですが、単純に1回自転しただけでは1日にならないため、南中時刻は毎日同じにならず変化しています。

太陽の南中時刻は、お昼の12時前後の「均時差」となって現れます。

均時差とは、視太陽時と平均太陽時の差で、時計の針が示す位置と実際の太陽の位置のずれを言います。(平均太陽時については後述があります。)

その理由は2点あります。

1.楕円軌道で公転しているため,2.自転軸約23.4°傾斜による季節変化

1.楕円軌道で公転しているため

17世紀の天文学者ケプラーの第一法則により、「万有引力が支配的する太陽系では、その惑星の周回軌道は、楕円軌道をとる」として知られているものです。

地球と太陽の重力による相互作用で、少しずれた焦点に位置するため楕円になることで、両者の距離に差が出て「近日点」「遠日点」を生じます。

また、距離との関係で自転速度も変化するため、地球が公転で動いた分だけ、360°より余分に自転する必要が出てくるのです。

そのため、

・近日点付近では地球は速く動くため、余分に自転する量は増加し、南中時刻はくなります。

・遠日点付近では地球は遅く動くため、余分に自転する量は減少し、南中時刻はまります。

2.自転軸約23.4°傾斜による季節変化

地球の自転軸は公転面に対し約23.4°傾いているため、季節による変化が生じます。

地球の運動と自転軸の向き     画像元:国立天文台暦Wiki

そのため、

・春分や秋分時には、自転軸の傾きが公転面に対して斜めのため、余分な自転量が少ないため、南中時刻はまります。

・夏至や冬至時は、自転軸が公転面にほぼ平行になるため、余分な自転量が多くなり、南中時刻はくなります。

今の1日は「平均太陽日」「協定世界時」

毎日1日の長さが一定でないのは、やはり不便です。

そこで、一定の速度で動く仮想の太陽を「平均太陽(へいきんたいよう)」を基にした時間計算が1885年から導入されました。

平均太陽が南中してから次に南中するまでの時間を「平均太陽日」、これをもとに定められた時刻を「平均太陽時」として、1日の始まりは、平均太陽が南中してから12時間経過した地点の時間(午前0時)からと設定されました。

これが、現在私たちが日常的に使用している「1日」の時間です。

 

その後1972年に、「協定世界時(きょうていせかいじ)」という概念が採択され、「平均太陽時」と等しいとされました。

しかし、協定世界時の基になる国際原子時は、国際度量衡局(こくさいどりょうこうきょく)によって世界70か国以上に設置されている、約500個の原子時計により、午前0時の時刻の平均をとることによって1日を24時間と定めるという、「平均太陽時」とは異なる方法を用いています。

1日の区切り

1日のスタートは

常用時

日常生活では昼に日付が変わるのは不便であるため、正子( しょうし)から正子までを1日として、真夜中に日付が変わります。子(ね)の正刻、午前0時、午後12時

 

天文時

かつては天文学の天体観測、船舶時間として、正午(しょうご)から正午までを1日とし、午前と午後は別の日でした。午(うし)の正刻、午後0時、午前12時、お昼

その後1925年1月1日から正子から正子までが1日に変更になりました。

 

日の出・夜明

江戸時代の人々は、日の出や夜明け(明六つ、午前6時ごろ)を一日の開始と考えることが多かったとされます。現在の私たちも、心理面では多くの人々が同じように考えるているといえるでしょう。

午前・午後と時間表記

午前午後の概念は、14世紀以降、機械式時計の登場により、24時間を視覚的に分かりやすくするため、1日をお昼の正午で半分に分けることから生まれました。

午前は正午前、午後は正午後と分けられ、「am」と「pm」はラテン語の「ante meridiem」と「post meridiem」の略から来ています。

時計の表示に関しては、正午を12:00pmとし、午前0時の正子は12:00amと表記されますが、この表記はヨーロッパにおいて「0」という概念が存在しなかった時代の名残といわれています。

 

日本では、NHKを含む多くの場所で「昼の12時」を「正午」とし、「夜の12時」を「午前0時」として使用しています。

 

工業規格としての時間表記では、ISO 8601(国際標準化機構)やJIS X 0301 (日本産業規格)に従い、24時間制が用いられ、0時にその日が始まり24時に終わるとされています。

ヒッパルコス「1日24時間」提唱までの変遷

1日を24時間とする概念は、古代エジプトに遡ります。

・紀元前1500年以前の古代エジプト

日時計を用いて昼の時間を計測し、夜間はデカンと呼ばれるシリウスやオリオン座など目印となる星の位置から、時間を計測していました。

当時は「不定時法」といって、1日を昼と夜に分け、別々に12分割して時刻を決めていたため、季節によって時間の長さが変わっていました。

 

・古代バビロニア

一方、数学・天文学で使用していた「12進法、60進法、円周360度」から、1日を12時間に分割する定時法」を用いて、時間の単位が作られたとされています。そのため季節によって時間の長さが変わることはありません。

12等分する理由には、1年が12カ月であることや、12という数字が人間の手(親指を除く指の関節)で数えやすいことが関係しているとされています。

 

・紀元前2世紀ごろギリシャ

天文学者ヒッパルコスによって、「1日の昼夜を平等に24分割する」概念が提唱されました。この考え方は春分や秋分の際、昼と夜の長さがほぼ同等であることに基づくものでした。

その後のクラウディオス・プトレマイオスによる天文時観測にも影響を与え、正午から正午までを1日とする概念が確立されました。

この時間の概念は、14世紀に機械式時計の誕生以降広まっていきましたが、日の出と日没に基づく生活を送る一般人にはすぐには受け入れられず、実際には季節によって異なる時間単位が長く使用されていたようです。

 

・日本では

1872(明治5)年まで、「不定時法」を用いていました。
明け方から夕暮れまでを昼、夕暮れから翌日の明け方までを夜として、それぞれ昼夜を6等分するというものです。

時刻の呼び名は、夜中(午前0時)を九ツとし、そこから八ツ、七ツ、六ツ、五ツ、四ツと数え、その次が再び九ツで正午、そのあとも八ツ、七ツ、六ツ、五ツ、四ツと数え、次の九ツが翌日の夜中(午前0時)となります。

この時、季節によって昼と夜の長さが変わるため、それに伴って、時間の長さも変わるという複雑なものでした。

当時は日時計が使用されていましたが、1時間程度の精度でしか時刻を読み取れなかったようです。

お城や寺などが鐘や太鼓をならして、人々に時刻を知らせていましたが、江戸など人口の多い場所は報時の回数が多く、地方の村などでは回数は少なかったようで、細かい時刻はわかりませんでした。そのため、ニワトリの鳴き声や影の動き、線香の燃焼などから目安を見出していたということです。

まとめ

現在の「1日」とは、太陽の南中時刻から次の南中時刻までの時間を指し、年間の時間増減を平均した「平均太陽日」によって定義された、24時間のことで、真夜中の0時からスタートします。

普段の生活では、季節や日中時間の変化によって、地球が約23.4°の傾斜で自転しながら太陽の周りを楕円軌道で公転していることを、間接的に感じることが出来ます。

それらの影響を受けず、毎日1日の長さが同じであるのは、長い歴史の中で培われてきた、24時間を均等に分割する定時法や、平均太陽時という概念や協定世界時の設定機械式時計の発明発達などによるおかげでした。

1日を繰り返し、というよりも「1日」を新鮮に積み重ねていきたいと、時計を眺めながら感じた1日でした。

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